テーマ:時計NEWS(281)
カテゴリ:Breguet
ブレゲのスポーツモデルと言えば「Type XX」シリーズですが、今年新たに加わった「Type XXII GMTフライバッククロノグラフ」には正直驚きを隠せません。
この新型に積まれた「Cal.589 F」の振動数は、なんと毎秒20振動! 1時間当たりの振動数72000はゼニスのエル・プリメロを遥かに上回っており、既に比較対象にすらならないほどの超ハイビートと言えます。 センターの赤いクロノグラフ針は30秒で1週し、0~30秒か30~60秒かを判別するためのインジケーターが12時位置にあります。分積算は同じくセンターの60分積算計が受け持ちます。9時位置の永久秒針も1周30秒というのは少々視認性に欠けるかもしれませんが、クロノグラフを動作させずとも毎秒20振動というハイビートを実感するための演出なのでしょう。そして3時位置には24時間表示と6時位置には12時間表示の第2時間帯表示を持つGMTウォッチとなっています。 これほどの超ハイビートを実現できたのはやはりシリコンパーツの恩恵があるわけで、脱進機とひげゼンマイにシリコンパーツが使われています。ひげゼンマイは残念ながら巻き上げひげではなく平ひげのようです(ブレゲはシリコン製の巻き上げひげを製造できる!)。 そして何より驚かされたのはその価格設定で、SSケースで200万円を切っています。近年ハイビート化は一つのトレンドで、ゼニスのエル・プリメロは別としても、セイコーインスツルの12振動、オーデマ・ピゲAP脱進機の12振動、グランドセイコーの10振動など、次々に新型のハイビートムーブメントが登場していますが、10振動を超える(現状はセイコーインスツルの12振動とAP脱進機の12振動)超ハイビートモデルには、ちょっと現実離れした価格が設定されています。 セイコーインスツルの12振動モデルで840万円、オーデマ・ピゲのAP脱進機モデルに至っては3000万円近い定価(脱進機の特殊性などもありますが)です。ケース素材が高価な貴金属であったりするわけですが、一般的には「超ハイビート」など他社を圧倒するような付加価値があるムーブメントは、貴重な貴金属のケースに収めて生産数を抑えることによって、更に希少性を高めて高額な価格に設定するものです。 しかしブレゲはこのとてつもない超ハイビートムーブメントを、惜しげもなくSSケースのスポーツモデルに収め、200万円アンダーという価格で市場に投入しようとしています。「雲上」と呼ばれるブランドの最新テクノロジーを「たった」200万円で手に入れることができると考えると、これは一つの事件と言えるのではないでしょうか。 まだこのムーブメントの信頼性や耐久性は未知数と言わざるをえませんが、今後の展開が非常に楽しみです。尚、今月23日から伊勢丹新宿店で開催されるワールドウォッチフェアに早くも登場する予定です。会期中にはスペシャルエキシビジョン「ブレゲ クロノグラフ200年の歴史」が開催され、貴重なミュージアムピースも多数展示されるようなので、興味のある方はぜひ見に行って下さい。 ブレゲの時計を探す お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.06 18:28:55
コメント(0) | コメントを書く
[Breguet] カテゴリの最新記事
|