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カテゴリ:とんかのカルテ
物心ついたときから、わたしの心にはお目付け役がいます。
父母と年の離れた姉の4人暮らし。 典型的な(?)末っ子であったから、おちゃらけはわたしの役。 家族にどんよりした空気が漂うと、お目付け役はわたしに命じる。 「笑えるようなことをしろ。この場を何とかしろ」 なんとかしろって。。。(冷や汗)
年長者から見ればおちびは欠けたところだらけ。 かてて加えて外国では女中さんつきの暮らしで過保護になりがち。 帰国したとたん、身の回りのことを自分でしろと言っても、何をしたらいいんだか。 ラストエンペラー、いきなり囚人生活になる、といった感じ。 「だらしない」「いいかげん」と日々言われ、頭はパニック、身体はフリーズ。
日本と外国行き来し転居するたび、つきつけられる「常識に従え」。 (人は相手の能力・立場関係なしに無責任にいろんなことを要求するものです) 常識なんて千差万別、あんたの常識、よそでは非常識、と鼻で笑えばいいものの、 見よう見まね、言われる通りにしようと悪戦苦闘。 無力感に呆然としては自分の世界にひきこもる日々。 マルグリット・デュラスじゃないけれど、15でわたしは年老いました。 だって、毎日4~5人のお目付け役が頭の中でああしろ、こうしろって言うのです。 疲れるわ。
お目付け役Aはたぶん、母に養われていて、良妻賢母、良識を備えています。 彼女の言うことを聞くと、年長の女性に必ず褒められます。 ええ、従い切れれば、、、でも神経と体力がついていかない。
お目付け役Bは父の影響を受けているらしく、人と接する限り明るくポジティブに 臨機応変、瞬時に物事に対応しろとプレッシャーをかけます。 彼のいうことを聞くと有能な働きができます。 が、かなりの集中力・段取り力がいるので後日必ず倒れます。
お目付け役Cは学生時代のクラスメイトに鍛えられたようです。 警戒心が強く、なるべく目立たず、人と同じように行動しろ、とガミガミ言います。
きわめつけ、強烈なのは神学生時代に触れた伝道者たちに育成されたお目付け役Dです。 彼は3人の意見をもとに「死に至るまでがんばれ」とけしかけます。 ええ、もちろん、そんなことを信徒に要求する伝道者はカルトの教祖になってしまいます。 でも、神学生という「神に自分をささげた」はずの人には要求しがちなのです。
みんな、わたしに良かれ、と思ってやいのやいの、言っているわけですが、 こんな人々と暮らしていたら、憂鬱になるのもあたりまえです。 参考意見としてはかなりの知恵者ですが、命令になると、もう、わたしはあわれな奴隷です。 みなさんは、こんなお目付け役に悩まされてませんか。 もしかしたら、実際に口出しする人が身のまわりにいるかも。 でも、実際、わたしたちを苦しめているのは、他人ではなく、内側に居座ってしまっているお目付け役。 自分の美意識、人の言葉、いろんなものを吸収して、日々パワーアップしていく彼ら。 心のお目付け役が有能すぎると、自分にも他人にも厳しくなっていく。。 できないことを要求される恨めしさが積もり積もって心が硬くなるのです。
最近ではわりと上手にお目付け役たちとつきあってますよ。 まず、「黙れ!」って言って、そのとき自分に心地よいことをするのです。 お風呂に入る、とか、お茶する、とか。。。 ゆとりが出てから、彼らの言い分を聞いてやります。 ええ、お目付け役はやめてもらって、これからは「自分プロデューサー」と呼ぼうかと。 彼らもこの頃やさしくなって、こちらの事情を考えてものを言ってくれるようになりました。 自分プロデューサー、聖書では「律法の力」と呼ばれています。 困ったチャンのようだけど、いてくれないと、人間壊れてしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.11 19:10:07
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