テーマ:たわごと(26906)
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きのうから降りだした雨が、今もふり続いている。
雨にまつわる思い出。 遠いむかし、僕が幼稚園児だったころの話。 その日は午後から雨が降りだした。 今と違ってのんびりした昔のこと。 僕らは一人で歩いて近所の幼稚園に通園していた。 でも、雨が降りだした日だけは特別。 みんな、お母さんが傘を持って迎えに来てくれる。 僕らは幼稚園の玄関の大きな屋根の下で お母さんが迎えに来てくれるのを待っていた。 お迎えが来た子から順に帰っていく。 お母さんと並んで傘をさして帰っていくお友達の後姿を眺めながら、 早く僕のお迎えが来てくれないかと、ワクワクしながらその時を持っていた。 そしてついに、その時がやって来た。 しかし、僕の傘を持ってきてくれたのはお母さんではなかった。 僕の妹が一人で傘をさし、僕の傘を持って迎えに来ていた。 まだ幼稚園にも通っていない妹にとっては 「初めてのお使い」みたいなものだったのだろう。 右手に傘をさし、左手に僕の傘を持ち、満面の笑顔でやって来た妹は、 誇らしげに僕に傘を渡した。 お母さんが迎えにきてくれると思っていた僕は、 妹から受け取った傘で妹を叩いた。 叩かれた妹から笑顔は消え、泣きだした。そして僕も泣きだした。 雨に濡れて泣いている兄妹を先生が家まで送ってくれた。 この思い出話は雨が降る日に、家族でよく持ち出される。 この話になると、何も悪くない妹は「ひっどい話よね!」と怒り、 すべて悪い僕と、そして母は笑ってしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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