藤原忠良 夕づく日さすやいほりの
藤原忠良夕づく日さすや庵いほりの柴の戸にさびしくもあるか蜩ひぐらしのこゑ夕べに向かう日の射している、鎖(とざ)そうとする柴の戸に、なんとも寂しいなあ、ひぐらしの声(が降り注ぐ)。新古今和歌集 269註さすや:「日が射す」と「戸を鎖す」の掛けことばになっている。「や」は、軽い詠嘆。ひぐらし:カナカナゼミ。さびしくもあるか:「・・・も・・・か」は、詠嘆の定型表現。「何とも寂しいことだなあ」。夏の夕べの情景に、「もののあはれ」を漂わせている。デブがニヒリズムを漂わせるぐらいの力技ではないだろうか。・・・確かに、ヒグラシの声には一抹の情趣はあると思うが、このクソ暑さでは、どうもこの境地には至れそうもない。