山上憶良 秋の七草の歌 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
オミナエシ山上憶良(やまのうえのおくら)秋の野に咲きたる花を 指および折りかき数ふれば七種ななくさの花萩の花尾花葛花くずはな撫子の花 女郎花をみなへしまた藤袴ふぢはかま朝顔の花万葉集 1537-1538註山上憶良の名歌。万葉集で、長歌と短歌(反歌)の組み合わせの連作形式は多いが、短歌と旋頭歌(せどうか)の連作はきわめて珍しい。というより、もしかするとこの一例のみか。一首目は5・7・5・7・7の短歌形式。二首目は5・7・7・5・7・7の旋頭歌の形式で、民謡風の野趣がある「鄙ぶり」。尾花:薄(すすき)の古語。詩的・雅語的表現としては現代でも用いられる「枯れ尾花」など)。撫子:ナデシコ科の多年草。セキチク、カーネーションと近似種。女郎花をみなへし:オミナエシ科の多年草。秋に黄色い可憐な花を咲かせる。語源は「美人(をみな)・減(へ)し」であるとされる。美人も真っ青になるぐらい可愛いというわけか。朝顔:桔梗(ききょう)のこととされる。現在言うアサガオ(ヒルガオ科)は、まだ(中国から)伝来していなかった。伊勢神宮外宮での観月会に供えられた秋の七草ナデシコハギ オミナエシ 伊勢神宮(外宮) その他は筆者撮影。ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン *画像クリックで拡大。