与謝蕪村 菜の花や月は東に日は西に
与謝蕪村(よさ・ぶそん)菜の花や月は東に日は西に註柿本人麻呂の和歌(短歌)の名歌「東ひむがしの野に炎かぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾かたぶきぬ」(万葉集 48)を踏まえる。蕪村の句は、古典文学の該博な知識に基づく縦横な引用と、絵画的表現が特徴で、この代表作はその典型例と言えよう。私の個人的な意見だが、これから俳句を目指そうという人は、とりあえず蕪村を読むことから始めるといいかも知れない。そこには、日本語表現の一つの到達地点というべき、イマジナティヴ(映像的)でクリエイティヴ(創造的)な、懐かしい世界が広がっている。俳聖・芭蕉は別格として、最高峰のひとつであることに間違いない。初めて読んで、詩歌人に憧れて、その末席に列なりたいと思った思春期の頃から、そう思っている。ただし、詩的表現には付きものの、読む者が選ばれる一定の難解・晦渋性はやはりありますので、そこいらのところはご容赦・ご了承・ご覚悟を。私自身、俗世・濁世の仕事が毎日忙しくてへとへとの身ではあるが、時間ができたら改めてじっくり読み返してみたいと思っている。(上の文章、何やら調子に乗って、ずいぶんと偉そうな筆致になってしまった。が、まあいいか。)蕪村句集 現代語訳付き角川ソフィア文庫価格:1,364円(税込、送料無料)(2024/4/25時点) 楽天で購入