輝きを増す若き俊英。
オーストリアブンデスリーガ第30節、シュタム・グラーツを迎えたホームスタジアムは、ファン感謝デーとして無料開放された事で満員の観衆で埋め尽くされた。監督陣を一新し、ヘシメット・モハジェラニやカシャヤール・モフセニらのイラン人がチームを去ったが、依然会長であるマジッド・フィッシャーの息子アミンがベンチ入りするなどイラン色は薄れてつつあるものの健在だ。ただモフセン・ファラジはアマチュアチームに落とされ、メフディ・パシャザデもアキレス腱を痛めて家族とスタンドからチームを見守った。ちなみにモフセニはアリ・ハーンをピルーズィの監督に就任させた後も代理人としてイランに滞在しているようだ。またシュタム・グラーツのポーランド人アダム・レドヴォンも試合には出なかったが、仇敵タールハマーが既に居ないこともあり古巣の仲間たちとの再会を楽しむなど和やかな雰囲気の中で試合は始まった。だが8位と最下位の生き残りをかけた一戦とあってピッチの中では熱戦が繰り広げられた。この試合で輝きを見せたのが若干18歳のエルウィン・ホファーだ。今季既に18試合に出場している若武者はなりふりかまわずグラーツのペナルティエリアに幾度と無く進入を試みる。その試みが実を結んだのが後半49分、ついにたまりかねたDFがホファーを引きずり倒しPKを獲得。キッカーは二ェナド・ビェリカ。ゴールマウスに立つかつての同僚スツァモツルスキーの動きをしっかりと読んでこれを難なく叩き込む。この日ばかりは普段からふがいない戦いを繰り返しホームゲームでも閑散としているスタジアムが、大観衆の喜びに包まれた。さらに後半66分、同じくビェリカからパスを受けたホファーが右サイドから強烈に今季初ゴールを叩き込むと会場のボルテージは最高潮に達した。このまま試合は2-0で終了。翌日に9位のマッタースブルクがザルツブルクを相手に驚きの勝利を挙げたため勝ち点差4は縮まらなかったがアドミラのファンにとっても、チームにとっても素晴らしいゲームとなった。明日、第31節GAKを迎えるアドミラだがパシャザデは再び欠場するようだ。Nordea Admira: Mandl - Wimmer, Pecelj, Horvath - Landerl (81. Dunst), Panis, Bjelica, Flel, Morgenthaler - Hoffer (88. Schachner), Bule (91. Saglik)SK Puntigamer Sturm: Szamotulski - Ertl, Mec, Verlaat - Krammer (79. Rauter), Salmutter, Neukirchner, Filipovic, Leitgeb, Sarac - Nzuzi (62. Peric)得点: 1:0 Bjelica (49., Elfmeter), 2:0 Hoffer (66.)警告: Landerl, Flel, Bjelica bzw. Ertl, Salmutter一方イランでも若い力が輝きを見せている。アブ・モスーレムのU-23代表候補のモハンマド・レザ・ハラトバリがピルーズィ戦でバゲリ、アンサリアン、そしてGKのファルシド・キャリミをも抜き去っての素晴らしいドリブルシュートを叩き込めば、エステグラルのフル代表候補ホセイン・カゼミもエナヤティのハットトリックの活躍に隠れながらもハードなボレーをミルザプールが守るゴールに突き刺し、さらに再びシェイス・レザイーやゴラーミンもスコアラーリストに名を連ねている。上記の写真はチュニジア遠征時のシモンエス・ボーイズ(U-23イラン代表)のものだが、彼らの多くが充実の時を過ごしている事はチーム・メッリの明るい未来を明示していると言えそうだ。(写真上段左からシェイス・レザイー、ヤヴァルザデ、テイモリアン、マジャール・ザレ、ゴラーミン、ルードバリアン、下段左からアクバリ、ボルハニ、ホセイニ、アルザニ、ショジャイー)ブンデスリーガ残留にかけるアドミラと、3度目のW杯での成功にかけるチーム・メッリを救うのは経験豊富なベテランだけではなく彼らのような若き力も不可欠だ。