ワンコ独り勝ち;落下の解剖学(少しネタバレ?)
今日公開となった「落下の解剖学」を見てきました。パルムドール受賞、今年度のアカデミーには5部門ノミネートと、賞レースを大いににぎわせている一作ということもあり、期待に胸を膨らませながら、雪の中、映画館へと向かいました。雪深い山荘で、ある男が謎の転落死を遂げるところから、物語は急展開します。唯一、事件発生時に山荘にいたと思われるのは、男の妻であり売れっ子小説家のサンドラ。愛犬スヌープと散歩に出るところだったのが、目の見えない息子・ダニエル。サンドラが殺したのか?それとも事故なのか?…というところで、展開される法廷モノでもあります。最初は妻寄りで見ていましたが、途中で新たな事実が判明すると、夫の苦悩もすごく理解できるような気がしました。というか、サンドラ、それはエグい…!この人物相関図って、日本の家庭でよく問題になるやつじゃないかなと思ったりもしましたよ。日本だったら、夫が仕事で家庭を顧みず、妻は子供の世話と家事で手一杯で、自分の時間を持つことも許されない。この作品の場合はその逆バージョン。いろいろ考えさせられる部分が大きかったです。最初に事件が起きて、裁判でその光景を振り返っていき、それを補う形で事実が挿入されていくと、真実はそういうことだったのか…としかし、この映画はワンコのスヌープが本当に演技派。最初、CGとかで合成したのかと思っちゃいました。そしたら、この子パルム・ドッグ賞をもらっているんですね。納得です。そして、息子・ダニエルも魅力的。演じているのはミロ・ド・マシャールくんというのですね。裁判で明かされていく両親の事実に、心を引き裂かれそうになりながらも、現実としっかり対峙していこうとする姿は感動的でもありました。個人的にいちばん気になるのが、サンドラの旧知の弁護士・ヴァンサン。演じているスワン・アルローが!素敵!素敵以外のなにものでもないです。かつてサンドラに恋をしていた彼が、時折見せる切ない眼差しと、法廷でのキリっとした姿とのギャップにやられてしまいました。でも、ホントにサンドラひどいです。その、真に迫るひどさがまた、いいのかもしれません。