ホンモノになった放蕩息子たち
Libertines ザリバティーンズ / All Quiet On The Eastern Esplanade: 東部遊歩道異常なし 【CD】祝・全英チャート1位!まさかまさか、彼らが帰ってきてくれるとは。Suedeが帰ってきたときに次ぐ喜びです。「up the bracket」が2002年の話ですか…そうですよね、私も、彼らも、年を取りました。ピートとカールが揃ってたLibertinesのライヴを観たことがあるというのは、ちょっとした自慢です。2nd、3rdと痛々しいサウンドを鳴らし続けていた彼らが、ついにホンモノのロックバンドになりましたよ。今回リリースされた4th「All Quiet on the Eastern Esplanade」は、完成度としては最高の出来だと私は思います。1stほどの破壊力はありませんが、すべての楽曲が満遍なく素晴らしく、何よりもバランスがいい。安定感も抜群。ピートのヨレったヴォーカルは危うさを秘めつつも詩情たっぷりになり、カールのニヒルな声は渋さを増しました。「Run Run Run」や「Night of the Hunter」、「Shiver」のPVで、彼らはきっとやってくれるとすでに確信めいた予感は抱いていましたが、まさかこんなに素晴らしい一枚が出来上がるとは。冒頭の「Run Run Run」は、新しい彼らのアンセム。「You’d better run, run, run boy, Faster than the past...」という歌詞で胸が熱くなります。過去よりも速く…って。彼らのこんがらかった歴史を思い返せば、なんだか感情移入してしまいますよ。「Mustangs」や「Oh Shit」はカールのVoを存分に堪能できるナンバーで、大好きです。特に「Oh Shit」は往年のLibertines節。そして、この声がセクシーすぎてたまらない。ピートとカール、ふたりの声が存分に絡み合うこれぞLibertines的な「I Have a Friend」も、嬉しくて涙ぐんでしまう。ピートがホントに生き生きと歌っているのも嬉しいポイントです。「Night of the Hunter」はスローなナンバーですが、少し不穏で、哀愁のにじんだメロディを歌い上げる、ちょっとヨレった彼の声がぴったり。本編ラストの「Song They Never Play on the Radio」は、この素晴らしいアルバムのクロージングに、この曲以外考えられない、美しく、優しく、あたたかい一曲。ピートとカールのヴォーカルも、競い合うのではなく、寄り添う雰囲気なのがたまらなくハートウォーミングです。本当に、彼らが戻ってきてくれてよかった。いろんなメディアに露出していますが、4人みんなすごく楽しそうなのが、見ているこっちも嬉しく楽しくなるほどです。ピートはだいぶ太りましたが、カールとの掛け合いはいつ見ても微笑ましい。長く続けていってほしいと思います。そして、願わくば、日本に来て…!!