彼は彼の道を行く
ソロ名義で25年ぶりのアルバムですよ。Bernard Butlerがやっと自分で歌う気になった「Good Relief」。本国では5月31日リリースで、1週間ほど遅れて私の元にもやって来ました。オフィシャルストアからオーダーすれば、500枚限定のゴールド・ヴァイナルでバニのサイン入りシートが付きますよ。ということで私はもちろんプレオーダーしました。音源は以前からネットに小出しにしていたんですが、それで聴いたときよりも、一枚通して聴く方がずっといい。言っておきたいけれど、SuedeのBernard Butlerはここにいません。そして、ロックも、エロいギターも唸るギターもありません。枯れ渋なフォークを訥々と歌い上げる彼が、そこにいます。プラス、彼お得意の流麗なストリングスのアレンジ。これはたまらん。リード・トラックとなる「Camber Sands」を聴いたときから、今度のアルバムはこういう路線になるのだろうなと思っていました。郷愁を漂わせる、大人のフォーク。でね、一回さらっと聴いただけじゃ、ハマらない人、多いと思います。でも、じっくりと腰を据えて、すべての雑音をシャットアウトして、歌詞とにらめっこしながら聴くと、じわじわと「来る」んですよ。本当に、歌詞も含めて「郷愁」としか言いようのないサウンド。私が勝手に解釈した感じなので、正確な意味はわかりかねますが、ある程度の年を重ねた「I」が過去を振り返り、そこに帰ろうと呼びかけたり、失った大事な人にもう一度なんとか触れようとしてみたり(でも無理)、急に人生全部クリーンにしてやる!って開き直ってみたり。私は「Pretty D」という曲が大好きなんですが、これ、何の予備知識もなく歌詞だけ見てたら、「え?これバニ自身のこと?」と思っちゃいそう。Well, it’s been 20 years since you broke my heartOh 20 years We’ve been falling apartAm I losing my touch, baby? Why don’t we start it again?またブレットとなんかあったの!?と私は一瞬誤解しましたよ(苦笑)。でも、メディアのインタビューを読んでいたら、彼が「The League of Gentlemen」というドラマに登場するバンドのメンバー同士の関係性(仲違いしてるみたい)に言及してて、そういうことですかと納得。ただ同時に、Pretty Dは自分自身でもあるとも言っているので、まあ、いろんなイメージを詰め込んだ上でのキャラクターなのかなとも思いました。バニに対して失礼かもしれませんが、ホントにキュートなオジさまになったなと。アルバムリリースが決まるあたりからずっと彼のSNS見ていますが、やることなすこと可愛いんですよ。犬と登場したり、寝起きだったり(たいてい寝癖大爆発してる)、移動中だったり。で、「Hello, it's a lovely day!」なんて言われた日には、悶絶します。本国ではインストアイベントを精力的にこなしているようで、羨ましい限りです。日本のことも、忘れないでね…!