ギリシア悲劇を思わせる傑作★「怪談鏡ヶ淵」
怪談の名手・三遊亭円朝の原作を、低予算ながらもなかなか格調高く映画化したのが'59年の大蔵新東宝作品「怪談鏡ヶ淵」。【中古】怪談 鏡ヶ渕 [DVD]新東宝がエログロ路線に突入してから製作された作品ですが、エログロなんてとんでもない!怪談のツボを踏まえた演出と、無駄のないシナリオが織り成す傑作です。本当にシナリオの構成や台詞に、無駄というものがひとつもないんですね。わずか1時間で、登場人物の人間関係は勿論のこと、各人物が抱く思い、各人物の人となりが、じっくりわかるんです。ストーリーもそうですが、人物たちが、まるで古代のギリシア悲劇のそれのようでしたね。実にうまく練ったシナリオだと、感心しました。演出もお化け屋敷の手法をとっていて、今観ると、やや稚拙な感は否めませんでしたが、不気味でしたね。惜しむらくは、この作品、モノクロだということ。「東海道四谷怪談」のようにカラーだったら、もっと怖さを演出できたでしょうね。にほんブログ村