カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
死刑制度というものを真正面にとらえ
それを批判、あるいは疑問視した映画作品は、数々あります。 イタリアの「死刑台のメロディ」、日本の「絞死刑」、 そして日本と同様、先進国の中でまだ死刑制度が廃止になっていない米国の 「デッドマン・ウォーキング」('95年)。 税込\2000以上のご購入で全国送料無料!!※代引き手数料を除くデッドマン・ウォーキング■ショーン・ペン ニュー・オーリンズの刑務所に収監中の死刑囚・マシュー(ショーン・ペン)から 会いたいという手紙を受け取ったシスターのヘレン(スーザン・サランドン)は、 彼と刑務所の面会室で会った。 マシューは悪友と若いカップルを惨殺したかどで逮捕されたのだが、 殺人の実行犯は友人で、自分は殺害行為はしていない、 なのに自分が死刑判決を受けたことが、どうにも納得できないと、ヘレンに訴えるのだった。 面会中、始終煙草をふかし、罪を悔い改める様子などまるでないマシューに、 ヘレンは不快感を覚えながらも、彼から死刑執行の日が決まったと知らされるや、 恩赦を求める審問会を開くよう、弁護士に求めた。 しかし、マシューの老母の出席と懇願にも関わらず、恩赦はあえなく却下された‥‥ 貧しい家庭に育ち、チンピラとなり、挙句に若いカップルを惨殺した 世間の目から見れば、「救いがたい人間」、「矯正不可能な男」であるマシュー。 刑務所に入れられても、イキがって人種差別発言を繰り返すマシュー。 しかし、そんな獣のような男も、自らの死刑の日が刻一刻と近づくと、 否が応にも死というものを実感し、己を見つめ直し、己の残されたわずかな命を愛しむ‥‥ そんな死刑囚の細かい心の変化や、残虐非道なことをした男にも、人間としてのあたたかみが残っている様子を、 ショーン・ペンが持ち前の類いまれな演技力で、それは上手に演じていました。 シスター役のサランドンも、素晴らしかった。 いよいよ死刑執行の時が来て、刑場へひかれてゆくマシューの肩に手を置きながら、 旧約聖書イザヤ書の「恐れるな。汝は火の中にあっても焼かれることはない‥‥」という箇所を呼んで、 彼を励ますヘレンの姿は忘れられません。 そしてマシューが死刑台で最後に被害者遺族に謝罪し、ヘレンに「愛してるよ‥‥」と言う場面も。 涙なしでは見られないシーンです。 ヘレンから「マシュー、あなたは神の子よ」と言われて、 「そんなことを言われたのは初めてだよ‥‥」と、マシューが泣き崩れるシーンにも、 思わず目頭が熱くなりました。 自らの命を投げ出さなければいけない死刑という刑罰で、 果たして被害者遺族は癒されるのか、被害者はあの世で満足できるのか、 そして、死刑そのものが真の意味での罪の償いになるのか、 深く深く考えさせられる作品です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 17, 2009 10:14:58 PM
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