カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
この映画、映画ファンなら涙が出るほど役者の顔ぶれが豪華です。
何せ主役が「十戒」、「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストン、 脇には「荒野の決闘」、「十二人の怒れる男」のヘンリー・フォンダ、 「眼下の敵」、「恐怖の岬」のロバート・ミッチャム、 「暴力教室」、「パリは燃えているか」のグレン・フォード、 そして、日本映画史に輝く大スター・三船敏郎! 日本海軍の真珠湾攻撃から数ヶ月後、ガース大佐(チャールトン・ヘストン)は米国本土からホノルルに呼ばれ、 ニミッツ大将(ヘンリー・フォンダ)から、山本五十六長官(三船敏郎)率いる連合艦隊の暗号文解読を命じられた。 一方山本は、米軍の太平洋艦隊をミッドウェイ沖に誘い出して 攻撃をしかける作戦を提案したが‥‥ ハリウッド産の壮大な戦争映画ゆえ、製作費も莫大。 当時は最新鋭音響と言われた、センサラウンド方式も採用しています。 しかし‥‥ 連合艦隊との戦闘シーンの多くは、東宝映画「太平洋の嵐」(大傑作です!)、 「連合艦隊司令長官 山本五十六」、「トラ!トラ!トラ!」の使いまわしなんだもん!! しかも、「太平洋の嵐」と「山本五十六」は、まったくの無断借用。 よくもまあ、やってくれたと思います。 極東アジアの国の映画など、無断借用したってバレないとでも思ってたのか?! しかしまあ、映画王国ハリウッドが無断借用するほど、 日本映画(てゆーか、円谷英二大先生の特撮映画)は素晴らしいってことの証明でもありますね。 そういうわけで、この作品、すごい役者がそろってるけど、 ツギハギ映画の感がどうしても否めません。 完成度も、ミッドウェイ海戦を超リアルに描いた「太平洋の嵐」に比べると、 かなり落ちます。 ハリウッドオリジナルの空中戦シーンは、結構迫力がありました。 太平洋艦隊の幹部たちのやりとりも、なかなか見応えがありました。 だけど‥‥ヘストンの息子(海軍中尉)と日系人女性との恋物語は、まるでダメ。 なんでこんな余計な要素を入れたんでしょうね? だいたいあの日系人女性、見た目がちょっと下品というか、娼婦的です。 それと、連合艦隊側では、日本人役者が三船さんだけで、あとは全員日系米国人、 台詞も全部英語というのも、かなり違和感がありました。 まあこれは、音声が英語以外の言語の映画を字幕で観るのは、ごく一握りのインテリ層だけだというアメリカのお国柄でしょうが、 公開当時はまだ子どもで、英語など全然わからないモイラは、観ていてちょっと頭が痛くなりました。 ちなみに、三船さんの英語は(たぶん)日系人の吹替でしたね。 口の動きを見ると、三船さん、確かに英語の台詞を話しているようですが、 きっと英語圏の人には通じない「英語」の台詞だったんでしょう。 (20数年前、テレビ放映された時は、日本語吹替は三船氏自身の声でした) チャールトン・ヘストンは主役だから、それなりに活躍していたけど、 ロバート・ミッチャムは‥‥ただ出ているだけでしたね。 それと‥‥音楽がつまらない! 軽すぎるというか、勇壮さがまるでないんです。 全体的に不満の多い作品なんですが‥‥それでもモイラは嫌いになれません。 過去の多くのハリウッド産戦争映画が、日本の軍人を人間以下みたいに悪意むき出しで描いているのに対し、 この作品は、「ジャップ」という台詞も多いながらも、かなり連合艦隊や山本五十六長官に敬意を払っているからです。 「う~む‥‥敵ながらあっぱれ!」という声が、スクリーンの向こうから聞こえてくるようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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