カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
東映任侠映画の人気シリーズで、藤純子(現・富司純子)主演の「緋牡丹博徒」の第6作「お竜参上」('70年)。
女博徒にして矢野組の二代目・竜子は、かつて面倒を見たことのある娘・君子を探しに上京した。 浅草で芝居興業を営む鉄砲久(嵐寛寿郎)一家に草鞋を脱いだ竜子だが、 若い女スリの被害に遭いかけた。 しかし、その女スリこそが、竜子が探していた君子だった。 君子はある時、鉄砲久一家と敵対する鮫洲政(安部徹)一家の幹部の懐を狙ったが、 やり損なって捕まり‥‥ 藤純子さんのきりりとした美しさ、博徒でありながらも上品な立ち居振る舞いはもとより、 名匠・加藤泰監督の、メリハリのきいた深みのある演出には、まったく舌を巻きますね。 今回、お竜さんはもろ肌脱いで緋牡丹の刺青を見せることはしませんが、 彼女のしぐさ一つ一つに、ほのかでどこか高貴な色気が漂っています。 毎回お竜さんの強力(?)な助っ人となる熊虎親分(若山富三郎)は、 相変わらずのお調子者で一本気ですが、 貧しさゆえに廓に売られたわが身を呪いながら死んだ妹を、 廓の元締のヤクザから「虫けら一匹死んだくらいで‥‥」と鼻であしらわれ、 怒りを爆発させて相手を刺殺した渡世人・銀次郎(菅原文太)が、 なんとも哀れで、なおかつ凄まじかったです。 モイラはこれまで、菅原文太って役者さんは台詞といい、顔の表情といい、基本的に大根で、 「どんな役をやっても菅原文太」としか思えなかったのですが、 このシリーズでは違いましたね。 しかし‥‥チンピラ役の山城新伍は、どの出演作品を見ても、う~ん‥‥ 「どんな役をやっても山城新伍」ですね。 大根じゃないんだけど、なんかこう、自分の殻を破れない‥‥というか。 監督しての腕前はなかなかのものですが、中年過ぎてヴァラエティ中心の仕事を始めて正解でしたね。 山城のおっさん、モイラが世界屈指の名優とあがめてやまない緒形拳さんのことを、 「大根」「どんくさい」と公言していたそうですね。 あ、でもモイラ、山城のおっさん、嫌いじゃないですよ。 コメンテイターとしての、あの歯に絹着せぬ物言いは、頷ける点が多々あったから。 (例:ずっと昔、ロス疑惑でマスコミが暴走していた時、その暴走に歯止めをかけるような発言をしていたこと。) あれれ? 話がだいぶ横道にそれちゃいましたね。 ともあれこの作品、ちょっと気分が落ち込んでいる時に観ると、実にスカッとしますよ。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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