カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
広島における暴力団の血の抗争を描いた「仁義なき戦い」シリーズのうち、
人間描写、心理描写が最も長けているのが、 3作めの「代理戦争」ではないかと思います。 仁義なき戦い 代理戦争 神戸に本拠地を持つ西日本の裏社会を牛耳る明石組と、 それに敵対する神和会との抗争に 広島のヤクザたちが巻き込まれるという、文字通りの代理戦争を ドキュメンタリー色むき出し、日本人が大好きな浪花節を一切排して描いた傑作。 時代設定は、米ソ冷戦による代理戦争の火蓋が、アジア各地で切られつつあった'60年代前半。 当時日本は高度経済成長に浮かれる一方、大学などでは日米安保闘争が繰り広げられるという、言うなれば光と影が交錯中。 そんな不安定な世相、真っ先に暗躍し、いつのまにか勢力を広げるのは裏社会の人間たちと、相場は決まっています。 本作品は壮大な群像劇の形をとっていて、 モイラは大学生の時に初めて本作品を名画座(新宿昭和館のオールナイト)で観た時は、 誰がどこの組に所属していて、その組がどの組と対立しているのか、途中でわからなくなり、 あとで笠原和夫氏のシナリオを読み直して わからなかったところをチェックしたものです。 各組の相関図も描きながら。 登場人物がやや多すぎるきらいはありますが、 毎回、抗争を避けようと苦悩する主人公・広能昌三(菅原文太)はもとより、 節操も仁義もなく自己保身に汲々とする山守組長(金子信雄)、 病気持ちという負い目からか普段は控えめだけど、いざという時にはデカいことをやらかす武田(小林旭)、 常に冷静沈着で中立の立場を貫く松永(成田三樹夫)、 単細胞だが、腕力で所属する村岡組の勢力拡大に貢献した江田(山城新伍)、 メインの人物がそれぞれ個性豊かで、きっちりその人物像を描写している点が素晴らしい! 中でも強烈だったのは、女(池玲子)にテレビを買ってやるため、 組が守っていたスクラップを盗み、その落とし前に指一本ではなく 左の手首ごと斧で切り落とした西条(川谷拓三)。 「男を売るため」に、自分の女を化物のようなプロレスラーや弟分にあてがおうとする ゴミみたいなチンピラ野郎ですが、単細胞すぎるところが却って憎めません。 哀れだったのは、プロレスラーに絡まれたのがきっかけで、相手を刃物で怪我させて、 カタギの溶接工だったのに、広能組に預けられ、 自ら鉄砲玉を志願するようになる青年・倉元(渡瀬恒彦)。 映画館の前で蜂の巣にされ、のたうちまわってこときれるシーンは、凄惨そのものでした。 東映は「実録モノ」と称するヤクザ映画をいくつも作ってきましたが、 「仁義なき戦い」シリーズは、モイラの中では別格です。 柳生一族の陰謀(期間限定) ※再発売 [DVD] 【中古】 いつかギラギラする日 /深作欣二(監督),萩原健一,木村一八,荻野目慶子,多岐川裕美,深作欣二,奥山和由,丸山昇一,菱田吉美 【中古】afb 【中古】 宇宙からのメッセージ /真田広之,千葉真一,ヴィック・モロー,深作欣二(監督),森岡賢一郎(音楽) 【中古】afb 【中古】 恐喝こそわが人生 /松方弘樹,佐藤友美,園江梨子,深作欣二(監督),藤原審爾(原作),鏑木創(音楽) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 5, 2020 01:24:38 PM
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