カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
この名作なのですが‥‥残念ながらあまり評価されていません。
水上勉原作、田坂具隆監督、佐久間良子主演の「湖(うみ)の琴」です。 若狭の山深い貧農に育った娘・さく(佐久間良子)は、 遠く離れた賤ヶ岳の琴糸を作る製糸工場へ、住み込みで働きに出た。 男衆の中には同郷出身の純朴な青年・宇吉(中村賀津雄)がいて、 やがてさくと宇吉は互いに心を通わせるようになった。 しかし宇吉は兵隊にとられ、それと入れ替わるように 年老いた京都の長唄師匠(中村鴈治郎)が製糸工場を訪れ、さくを見そめるのだった‥‥ 山育ちの土臭い田舎娘だったさくが、 京都の名門の長唄師匠の弟子になって、みるみる垢抜けてゆく様子が、 たまらなく美しいです。 「好きな男がいつかは帰ってくるのに、なぜ京都の長唄師匠の許に?」と さくの決断に少々疑問も持ちましたが、 そこはやっぱり若い娘‥‥華やかな都会というものに憧れたのでしょう。 芸事には厳しいけど、プライベイトでは父親のように優しい師匠とひとつ屋根の下で暮らしていれば、 思いを寄せている宇吉のことも、時には忘れてしまうもの。 師匠が清らかで美しいさくをモチーフに作曲した「夕顔観音」という名曲を さくの前で披露し、さくが大喜びするシーンは、もう完全に宇吉の影も形もありません。 そして‥‥さくは宇吉に許すはずの貞操を師匠に許してしまうのです。 この一度だけのあやまちは、さくの心をずたずたにし、 「そこまでやるう?」と思うくらいの悲しい結末に導くのですが‥‥ 二人の男性の間でヒロインの心が揺れ動く様子をきっちり描いていて、また若狭や琵琶湖のロケーションが素晴らしく、ありきたりの悲恋ものとは一線を画しています。 それにしても佐久間良子というのは、不思議な女優さんです。 一見とても清潔なんだけど、 全身に華があって、匂い立つような色気を漂わせることのできる人ですね。 日本にはあまりいませんよ。 貧民街のヤンキー役(「わが闘争」)や、娼妓役(「五番町夕霧楼」)や、 雪深い田舎のモンペ姿の農婦役(「越後つついし親不知」)でも、 男がついぐっときてしまうほど強烈な色香を、さりげなく出せる女優って。 あのなんとも言えぬ色香の秘密は、一体どこにあるんだろう‥‥? モイラは繰り返しDVDやビデオの佐久間サンを見て、ある時気づきました。 それは‥‥頬からあごにかけたフェイスラインと、ややぽってり気味の唇! 色気の正体はこれです!! 映画観終わったあと、モイラはつくづく鏡で自分のフェイスラインと唇を見たのですが‥‥orz お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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