カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今まで決して表舞台に出てこなかった小沢一郎氏が ついに党首選に出馬。菅直人氏と一騎撃ちの運びとなりました。 このニュースを耳にしたモイラは、 「山が‥‥動いた!」という映画の名台詞を思い浮かべました。 その映画は‥‥黒澤明監督の「影武者」('80年)です。 黒澤明DVDコレクション 15 影武者 ひょんなことから武田信玄の影武者に選ばれた男から見た戦国絵巻ですが、 この作品、クランクイン直後に早くもトラブりましたね。 主役の勝新が黒澤監督の許可を得ずに、自分の演技をチェックするためにビデオカメラを持ち込んで、 それが監督の逆鱗に触れて、あえなく降板‥‥ モイラは最初新聞で、主役が勝新に決まったと知った時から、 「あ、こりゃひと波乱あるな‥‥」と思いました。 黒澤監督は世界にその名を轟かせる「帝王」(事実、「黒澤天皇」とまで言われてました)。 かたや勝新も役者の世界では「帝王」。 帝王同志がぶつかりあったんじゃ、ことがうまく運ぶわけないです。 映画人としてほんのかけだしの頃、当時「七人の侍」を製作中だった黒澤監督とお酒の相手をして、 「おい○○(父の名)!貴様!」等、ボロクソに怒鳴られたことのあるモイラの亡き父も、 勝新降板劇には、「ああ、やっぱりなあ‥‥」と頷いていましたね。 んでもって、主役は勝新とはまるっきり性格の違う、 悪い言い方をすれば監督の言いなりになりそうな仲代サンに変ったのですが‥‥ 正直言って、モイラは勝新信玄を観たかった! 戦場で落馬するシーン、側室達(倍賞美津子と桃井かおりという、およそ武将の側室にはそぐわないヘンなキャスティング)とのやりとり、城の女たちを見てヤニ下るシーンなどでは、 悪いけど仲代サンじゃどこか分別臭くて、面白くない。やっぱ勝新でないと! この映画、公開当時、賛否両論真っ二つに分かれましたね。 松本清張氏は朝日新聞で、「黒澤、老いたり」とコメントしていました。 モイラは主役のキャスティングに関しては、少々不満がありますが、 それでもこの「影武者」は、日本映画の傑作の一つだと思います。 まず映画の原点である「見世物」として観ると、かなり上質です。 出だし、同じ鎧兜を着た同じような3人の人間が、武田の家紋を背景にパッと出たシーンで、 「おおッ?」と身を乗り出しました。 (信兼役の山崎努サン、最初は誰だかわからなかったもん) 夥しい馬とエキストラを使ったダイナミックな合戦シーンは、「すごい‥‥!」の一言。 城の大広間の評定のシーンも息を呑みました。 奥行きの深い座敷に、夥しい家臣‥‥これはNHKの大河ドラマではたぶん再現できません。 影武者が息子に突然発言を促され、とっさに「動くな‥‥山は動かんぞ!」と発するシーンも、見ものでした。 信長、家康、蘭丸役もハマってましたね。 隆大介の信長は、マジかっこよかった♪ 特に南蛮の鎧姿が‥‥ 台詞も良かったですね。 「俺がこの世でたったひとつ怖いものは‥‥甲斐の山猿だッ!」 「ううむ、さすがは信玄坊主。死してなお三年の間、よくぞこの信長をたばかった!」 家康役の油井昌由樹は、アウトドアグッズ販売会社の社長サンで、演技経験ゼロのド素人。 出番はそう多くなかったけど、風貌がいかにも「家康」って感じでしたね。 大滝秀治や山崎努といったそうそうたる出演陣は、撮影中、黒澤監督に怒鳴られまくったそうですが、 油井さんは一度も叱られなかったそうです。 ところで、民主党の大きな山が動き出しましたが、 その山が警察に逮捕→党崩壊‥‥って、映画にもならないバカな展開もありでしょうね。 蝦蟇の油 自伝のようなもの (岩波現代文庫) [ 黒沢明 ] 黒澤明 クロサワ 黒澤明 映画音楽の世界 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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