カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、お久しぶりです。映画狂のモイラでございます。
本日の名画は‥‥もうかれこれ半世紀も前の作品ですが、 原作・松本清張、脚本・橋本忍、山田洋次、監督・野村芳太郎という 超豪華スタッフが織りなすミステリーの傑作「ゼロの焦点」です。 会社員の鵜原憲一(南原宏治)と見合い結婚をした禎子(久我美子)。 しかし、結婚からわずか一週間後、憲一は、 前の勤務地の金沢に引継ぎのための出張に行ったきり、一向に東京に帰ってこなかった。 夫を案じる禎子は、まだ雪の積もる金沢へ夜行列車で出向くが、 そこで知ったのは、信じられない夫の裏の顔だった‥‥! 汚れた自分の過去を世間に知られたくないばかりに、 口封じのための殺人を犯してしまう‥‥ 今でこそサスペンスドラマや刑事ドラマでは、手垢のつきまくった題材ですが、 半世紀前は、そうでもなかったのでしょうか? 殺人に手を染めてまで、自分の今の立場を守ろうとする犯人の心理が 違和感なく理解できました。 モノクロームの映像が却って、ヒロインの禎子や 犯人とその周囲の人々の苦悩を、色濃く描いていましたね。 特に、禎子が夫を探し求めて、まだ底冷えのする金沢の、雪のとけかかった道を ジャブジャブと靴音を立てて歩くシーンなどは、とても哀れでした。 これはまさに、野村監督の秀逸な演出による賜物でしょう。 西村晃、沢村貞子、加藤嘉といった脇役陣も光っていました。 有馬稲子も、ちょっとミスキャストながらも、哀しくも味のある演技をしていましたね。 しかし不満もあります。 南原宏治と高千穂ひづるが、完全なミスキャストじゃないでしょうか。 南原宏治はあのいかつい風貌からして、簡単に女に騙される男には見えないし、 高千穂ひづるもまた、あの決して知的な美人とも、品が良いとも言えないまんまる顔からして、 名士の奥様にはとても見えませんでした。 そう感じたのは、モイラだけかもしれませんが‥‥ にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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