カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
日本映画界の草分け的存在・森田芳光監督が、
昨日、急性肝不全で亡くなりました。 まだ61歳‥‥これからも良い作品をいっぱい撮っていただきたかったのに‥‥ 残念です。本当に‥‥ 今夜とりあげる映画は、森田監督の最高傑作だと、モイラが自信を持って言える作品 「家族ゲーム」('83年 ATG)です。 [1983年ATG:DVDは廃盤]【VHS】家族ゲーム●監督:森田芳光//松田優作/伊丹十三 【中古】(ビデオ)【02P20Dec11】 川沿いの高層マンションの上階に一家を構える沼田家は、 次男・茂之(宮川一朗太)の高校受験を控え、家族中がピリピリ神経を張りつめていた。 長男・慎一は進学校に通う優等生だが、 茂之は劣等生の上に、いじめられっ子。 そんな茂之を見かねた父(伊丹十三)と母(由紀さおり)は、 家庭教師をつけるが、 その家庭教師というのが、三流大学を三度も留年した男(松田優作)だった‥‥ 冒頭、四人家族が長テーブルにずらりと並んで 互いに何もしゃべらず、黙々と食事をしているシーンに、 まず、おや?と、身を乗り出しました。 他にも家族の食事の場面はあるのですが、 ほとんどが家族それぞれ、一人で食べているものばかり。 子どもの受験という非常事態(?)には、ナーバスになるのに、 最も大切にしなければいけない(と、モイラは思う)日常では、家族の絆は薄い。 森田監督ならではのアイロニーですね。 伊丹十三演じる、目玉焼きの黄身の部分だけチューチュー吸って食べる父親の幼児性、 マンション地下の駐車場にも化粧をして降りる母親の外面の良さにも、思わず笑えました。 テストで出来の悪い生徒から順に前に呼びつけ、 点数を皆の前で大声で発表するや、教室の窓の外に答案を放り投げる、 近頃ではまず現実にはありえない中学教師の姿にも、 噴き出してしまいました。 しかし、一番皮肉が効いていたのは、 父母と茂之対、家庭教師吉本のやりとりでしたね。 「茂之は根っからの劣等生じゃない。ジェットコースターの構造の本を読んで、実際にジェットコースターのミニチュアを作ったんです」と、主張する母に、 吉本が放った強烈な一言が、忘れられません。 「豊島園なら一番で入れますね」 さて、衝撃のラストシーンは‥‥これがまたすごかったです。 鬼才・森田芳光監督のご冥福をお祈り申し上げます。 モイラが栽培した種子島安納芋の御用はコチラ ↓↓↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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