カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは。映画狂のモイラでございます。
昭和11年5月に起こった、世に言う「阿部定事件」を題材にした映画はいくつかありますが、 その中でもモイラが最も秀逸だと思うのが、田中登監督の「実録 阿部定」です。 東京・尾久の待合に居続ける中年男女は、 中野の料理屋の主人・石田吉蔵(江角英明)と、女中の阿部定(宮下順子)。 ふとしたことから不倫関係に陥った二人は、 手に手をとって店を出て、この待合へ流れ着いたのだ。 くる日もくる日も床を敷きっぱなしで、夜も昼もなく情事にふける吉蔵と定。 吉蔵の妻に彼をとられてたまるかと思った定はとうとう‥‥ 全篇ほぼセックスシーンが延々と続く、実に汗臭い映画でしたが、 不快感はもちろん、辟易するところもありませんでした。 阿部定という女がただひたすらに、 肉体的に完璧なまでに相性の良かった男・吉蔵を 求め、貪る姿が、哀しいまでにひたむきで、 神々しささえ感じたからだと思います。 女として流転の人生を歩み、数多くの男を知りながらも 快楽の絶頂を味わうには至らなかった定が 吉蔵によって初めてそれを知ってしまい、 セックスの権化と化す様子を、 演技派の宮下順子が、見事に演じています。 モイラはこの映画を観て、宮下順子という女優の演技力と存在感に 息を呑んだものです。 阿部定はのちに松田英子、黒木瞳も演じましたが、 モイラの中では「宮下阿部定」が最高位です。 こちらはモイラの安納芋販売会社のサイトです ↓↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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