カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
「老い」をテーマにした映画は古今東西たくさんありますが、
どうもしめっぽいものが多くて、ちょっと辟易。 しかし、今夜とりあげる新藤兼人監督の「生きたい」は、 観ていてあまりしめっぽさを感じさせない秀作だと思いました。 【バーゲンセール】【中古】DVD▼生きたい▽レンタル落ち 70歳になる安吉(三國連太郎)は、近頃下のしまりが悪くなり、 たびたび失禁するようになった。 そのため、いい仲だったスナックのママ(大谷直子)には、店から追い出されるわ、 同居する躁鬱病で行き遅れの娘・徳子(大竹しのぶ)からは、厄介者呼ばわりされるわ。 居場所のない安吉は、一人老人ホームに入ることを決意するのだが‥‥ 老醜を晒してでも、「生きたい」と願う安吉を、 三國連太郎が抑えた演技で熱演していましたね。 でも、それより光っていたのが、徳子役の大竹しのぶです。 たった今、鬱々としていたかなと思ったら、いきなり躁状態になって怒鳴り出す躁鬱病の40娘の役を それは見事に演じていました。 大竹しのぶという人は、女優に生まれついたような人だと モイラは心から尊敬しております。 この映画は後半、昔の姥捨て伝説と現代の「姥捨て」とが、平行して進みますが、 昔の姥捨て伝説でも、まだ老女役には早い吉田日出子が、 自らの老いを受け入れ、山まいりをむしろ心待ちにしているような老女オコマを これもまた抑えた演技で熱演しています。 現代の老人ホームを、まるで姥捨て山のように描いているのには、 多少違和感を覚えましたが、 一部の老人ホームには、そういう部分がいまだにあるのでしょう。 まあ許容範囲です。 徳子が父・安吉が老人ホームに入った時は、せいせいして友達と乾杯などしていたけど、 父が唯一遺した古い家に一人暮らしでは、やはり寂しくなり、 加えて父を老人ホームへ追いやった後悔の念が芽生え、 老人ホームから父を背負って家に帰るところなんかは、泣けましたね。 老いとは哀しいものだけど、 長生きすれば誰もが受け入れなければならない厳しい現実なのだということを 静かに語りかけている名作です。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 25, 2020 12:13:30 PM
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