カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんにちは、映画狂のモイラでございます♪
今日は日曜日…… 日曜日と言えば……この黒澤明監督の初期の名作が思い出されます。 その名も……「素晴らしき日曜日」!! 敗戦の爪痕が残る昭和21年の東京…… 若い雄造(沼崎勲)と昌子(中北千枝子)は、貧しい恋人同士。 二人はデートをするが、所持金はわずか35円(今でいうと3,500円)。 それでも有意義なデートがしたくて、住宅展示場を訪れるが…… 全篇、黒澤流ヒューマニズム溢れる珠玉の名作でした。 若く貧しいカップルが、ささやかな幸せを求めて 住宅展示場や不動産屋などを訪れるのですが、 どこへ行っても幸せは得られず、 最後は日比谷公園の野外音楽堂に、「未完成交響曲」を聴きに行こうとしても、 一番安いチケットさえ買えない二人の姿に、モイラは名画座で涙しましたよ。 ところでこの映画、ラスト近くで非常に実験的な演出をしてるんですね。 それは、誰もいない野外音楽堂で沼崎勲が オーケストラの指揮者の真似をして、中北千枝子に「未完成交響楽」を聞かせようと 指揮棒を振るのですが、当然音楽は流れてこない。 そこで中北千枝子が舞台に駆けあがり、 スクリーンの中から、両手を広げて映画の観客にこう訴えかけるんです。 「皆さん、お願いです! どうか拍手をしてやって下さい!」 役者がスクリーンの中から映画の観客に向かって喋るなんて、 今でこそ、たまに取り入れる演出法ですが(モイラの嫌いなギリシャ映画「旅芸人の記録」が、この演出法をふんだんに取り入れています) 1947年当時は、この「素晴らしき日曜日」が初めてだったんじゃないかなあ…… この演出法、欧米ではウケて、観客達が喜んで拍手をしてくれたそうですが、 日本では、あまりウケなかったようです。 それにしても、この作品の中北千枝子、美人とは言えないけど、初々しいですね。 のちに、日本生命のCMの、自転車に乗った「ニッセイのおばちゃん」になるとは、 彼女も想像だにしてなかったかと思います。 脚本は、「酔いどれ天使」の植草圭之助。 彼は黒澤明監督とは、小学校時代からの知り合いだったそうです。 一見、いや二見、三見の価値のある名作ですよ! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 20, 2023 06:09:55 PM
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