カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、遠藤周作の同名小説を映画化した、この作品です! 1960年、田舎出のさえない大学生・吉岡努(河原崎長一郎)は、 芸能雑誌の文通欄で、これまた田舎出の女工・森田ミツ(小林トシ江)と知り合うが、 東北弁丸出しで、まるで垢抜けず、美しくもなければ、知性のかけらもないミツに、会った当初から失望した。 それでも性欲を持て余していた吉岡は、嫌がるミツを犯すように抱き、 逢瀬を重ねるうちに、少しだけ彼女を可愛いと思うようになっていった。 ところが学友の長島(江守徹)に、 「お前はその豚が可愛いからって、一生豚小屋で暮らすつもりか?」と言われ、 下宿を変え、ミツとは一切連絡をしないようになった。 数年後、吉岡は大企業の社員となり、社長の親戚の娘・三浦マリ子(浅丘ルリ子)と恋仲になるが、 そんな折、かつて自分が棄てた女・ミツが、アイマイ宿にいることを知り…… この映画が作られた頃の日活は、東映作品を真似た任侠映画ばかりがヒットし、 地味な文芸作品など、まず当たらないと思われ、 この映画、一時期オクラ入りになっていたのですが、 ええいとばかりに公開してみたら、なんと予想外の大ヒット! 特に水商売に従事する女性たちが、大勢映画館に詰め寄ったそうです。 きっとみじめに男に棄てられ、社会の底辺で苦しむミツの中に、 自分の姿を見たんでしょうね…… 脚本を担当した山内久氏は、 原作小説の全篇に漂うカトリック臭さを、削ぎ取れるだけ削ぎ取り、 普通の日本人のシンパシーを誘う、それは見事なシナリオに仕立てています。 メガホンをとった浦山桐雄監督は、 ヒロイン・ミツを、歌手の都はるみに演じてもらいたかったそうですね。 一方、浅丘ルリ子はシナリオを読んで、「ミツの役は私がやりたい!」と言い出したそうです。 モイラは、そうだなあ……都はるみのミツが観てみたかったですね。 観て絶対に、ぜーったいに損はない名作ですよ!! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 20, 2020 01:45:27 AM
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