カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんにちは、映画狂のモイラでございます♪
今日ご紹介するのは、黒澤明監督作品の「醜聞-スキャンダル-」…… さあ、これは問題作ですよ…! 若い画家・青江一郎(三船敏郎)は、愛用のオートバイに乗って伊豆に行き、 山の絵を描いていると、 静養に来ていた人気声楽家の西條美也子(山口淑子)と知り合った。 青江は美也子が自分と同じ温泉宿に泊まっているのを知ると、 彼女をオートバイの後ろに乗せ、一緒に宿に向かった。 そして青江は、美也子の部屋へ改めて挨拶に行き、 二人が宿の浴衣姿で、部屋の窓辺で休んでいるところを、 アムールというカストリ雑誌のカメラマンに、こっそり撮影されてしまった。 アムールの編集長・堀(小沢栄太郎)は、 青江と美也子が以前から恋仲で、隠れて逢瀬を愉しんでいるというストーリーをでっちあげ、 「恋はオートバイに乗って」というタイトルで、隠し撮りした二人のツーショットを アムール誌に大きく載せ、雑誌は飛ぶように売れた。 それを知った青江は、アムール社に出向き、怒りに任せて堀を殴った。 青江は嘘八百の記事を書いたアムール社を提訴しようとするが、 そんな折、弁護士と名乗る、見るからにさえない中年男・蛭田乙吉(志村喬)が 青江を訪ねてきた…… わが国では、1980年代後半から21世紀初頭にかけて、 「フォーカス」、「フライデー」といった、いわゆる写真週刊誌が 有名男女の隠し撮りツーショットなどを載せ、 恋人同士でもないのに、「密会していた!」「不倫関係にあった!」などとスキャンダラスな見出しをつけて 雑誌を売りに売ろうとしていました。 「とにかく売れれば、嘘を並べ立ててもかまわない」といったマスコミ(「マスゴミ」と呼ぶべきか)の風潮を、 憂いている真の文化人も少なくなかったのですが、 黒澤明監督は、写真週刊誌がマスゴミを席捲する遥か以前の50年代初頭に、 その風潮に気づき、この作品でマスゴミを徹底的にぶっ叩いているのです。 すごいですよね、その先見性……さすがは世界のクロサワです! 弁護士でありながら、競輪狂いで、原告の青江の代理人を引き受けながら 被告のアムール社からも金をもらう蛭田を、 志村喬がリアリティたっぷりに演じていましたね。 結核で寝たきりだけど、 天使のように無垢で、人を疑うことを知らぬ蛭田の娘・正子を演じた桂木洋子も良かったです。 マスゴミに少しでも反感を抱いている方々…… この映画を観ると、心がすっきりしますよ。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 16, 2020 12:41:15 AM
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