カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、天才監督・山中貞雄の遺作にして最高傑作(であるとモイラは思ってます)の 「人情紙風船」でございます…… 江戸は深川のとある貧乏長屋…… その長屋に一人暮らしをしていた老いた浪人が首つり自殺をし、役人が調べに来た。 長屋の住民で髪結いの新三(中村翫右衛門)は、 通夜をしてやろうと長屋の大家に掛け合い、うまく酒と肴をせしめ、 長屋の貧乏住民達は、ただ酒が飲めるとばかりに、バカ騒ぎを繰り広げた。 一方、同じ長屋に住む浪人の海野又十郎(河原崎長十郎)は、 女房おたき(山岸しづ江)と共に紙風船作りをすることで、 何とか糊口をしのいでいたが、どうしても仕官がしたくて、 亡父の知人・毛利三左衛門(橘小三郎)に近づき、何度も頭を下げるが、 毛利はうるさいハエでも追い払うように、又十郎を避ける。 そしてその毛利は、大店の質屋・白子屋の娘お駒(霧立のぼる)を さる武家の嫁にしようと画策するのだが、 当のお駒は番頭の忠七(瀬川菊之丞)と、ひそかに恋仲になっていた…… 前進座とP.C.L(のちの東宝)のオールスターキャスト作品で、 脚本は、「関の弥太ッぺ」、「血槍富士」の三村伸太郎。 前進座の大スタアにして、かの河原崎長一郎、次郎、建三3兄弟のパパ・河原崎長十郎や、 のちに加東大介と名乗る市川莚司(ヤクザ役、うまかったっす)、 宝塚歌劇団の人気娘役だった霧立のぼる(超きれい!)などが出ているんだから、すごい! あっ、そうそう、中村翫右衛門は、テレビドラマ「遠山の金さん」で大人気を博した中村梅之助のパパなんですよね。 つーことは、あの中村梅雀のおじいちゃま…… まったく目もくらむようなキャスティングです。 そして、貧乏長屋の人間模様を、悲哀とユーモアをこめて丹念に描いた傑作中の傑作ですよ! モイラは山中貞雄監督作品は、「丹下佐膳余話 百萬両の壺」、「河内山宗俊」も観てるけど、 やっぱり一番好きなのは、この「人情紙風船」(昭和で言うと12年!)ですねえ…… ところで、山中貞雄監督は、この「人情紙風船」が封切られた日に赤紙が来て 中国大陸に兵隊として行かされ、翌年の昭和13年9月17日に、 28歳という若さで戦病死したんです。 映画監督として活躍したのは、わずか5年……! 当時の日本映画界にとっては、まったく惜しい人をなくしたもんです(涙、涙、涙……) もし生きて戦地から帰ってきていたら、 もっともっとたくさんの名作映画を、撮っていたことでしょう…… 本当に残念です! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 16, 2022 12:31:53 AM
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