カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんにちは、映画狂のモイラでございます。
今日は、山口百恵&三浦友和のゴールデンカップル主演5作め 谷崎潤一郎原作の「春琴抄」をご紹介いたします。 明治初期……大阪道修町の大きな薬種問屋・鵙屋の次女お琴(山口百恵)は、 幼い頃に病気で失明して以来、琴と三味線の稽古にひたすら打ち込み、 その腕前は、師匠(中村伸郎)をも唸らせるほどだった。 そんなお琴の身の廻りの世話をするのが、丁稚の佐助(三浦友和)。 全盲という障害ゆえに気難しく、また大店のお嬢様ゆえにわがままで驕慢なお琴だが、 佐助は献身的に彼女に仕え、そのうち密かに恋心を抱き始め、 少しでも彼女の心に近づくため、店の者達に内緒で買った三味線を 夜中にこっそり弾いて練習するようになった。 それを知ったお琴は佐助に、「わてがお前に三味線と琴を教える」と言ったので、 佐助はたいそう喜んだ。 しかしお琴の稽古はとても厳しく、佐助が少しでも間違えると、容赦ない叱咤が飛び、 ついには、「あかんあかん!何べん言うたらわかるんや、このアホ!」と、 火鉢の灰かきを手に投げつけられる有様だった。 それでも佐助は泣き言一つ言わず、厳しい芸事の道に励み、 お琴もまた、心優しく従順で我慢強い佐助を愛するようになっていった。 ところが、大店美濃屋の若旦那で遊び人の利太郎(津川雅彦)も、 美しいお琴に想いを寄せ、いつか彼女をモノにしようと企んでいたのだった…… 大店のお嬢様と一介の丁稚……そして琴・三味線の師匠と弟子…… 住む世界がまるで違うお琴と佐助ですが、 そんなしがらみを超え、二人は激しく愛し合い、 ある日、お琴は佐助の子を身ごもってしまいます。 お琴の父・安左衛門(中村竹弥…歌舞伎役者ですよ!)は、初めから胎児の父親は、いつもお琴と一緒にいる佐助だと見抜き、 最初は佐助を責めたてるのですが、次には急に下手に出て、 「佐助、怒らへん。怒ったりせえへん。だから、父親はお前やと言うてくれ。ほしたら儂も安心するんや」とまで口にしますが、 あくまでも丁稚である佐助は、令嬢のお琴には勿体なくて指一本触れていないと言い、 お琴はお琴で、佐助との結婚を勧める両親に、強く言い放ちます。 「佐助は奉公人でっせ!そないな男と結婚なんぞ……!」 モイラは、谷崎の名作「春琴抄」が、山口百恵主演で映画化されるのを 今は亡き映画人の父から聞きました。 父は最初、「山口百恵のような格別きれいでもない小娘歌手に、美しい暴君の春琴役なんか務まるもんか。ああいう役は、美しい大スタアの京マチ子や山本富士子が演じるもんだ!」と、 さんざんクサしていましたね。 しかし、モイラと一緒に「春琴抄」の試写会に行ったあと、ポツリと言っておりました。 「山口百恵は歌はド下手だけど、なかなか演技力があるな。いい女優になるだろう……」 モイラは大いに頷き、父に言いました。 「ただ利太郎役の津川雅彦さんは、ちょっとミスキャストだね。あれはもっと若い人にやらせるべきだったと思う」 すると父は、「本当にそうだな……」と頷いておりました。 この作品、脇が名古屋章、品川隆二、小松方正、風見章子、絵沢萌子と、演技派が揃ってましたね。 まだ初々しい新人の榊原郁恵が、春琴の弟子役でちょこっと出演しているのも見ものです。 師弟関係を超えた愛が、果たしてどんな結末を招くのか…… それは……ご覧になってのお楽しみ! 監督は青春映画の巨匠・西河克己 脚本は西河克己と衣笠貞之助です。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 2, 2023 02:42:26 PM
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