カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵は、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した溝口健二監督の代表作のひとつ 森鴎外原作の「山椒大夫」を、ご紹介いたします! 【中古】 山椒大夫 /田中絹代,花柳喜章,溝口健二(監督),森鴎外(原作) 【中古】afb 時は平安時代末期…… 農民の窮乏を救うため、鎮守府将軍にたてついて、 筑紫へ左遷された平正氏の妻玉木(田中絹代)と 息子厨子王(花柳喜章)、娘安寿(香川京子)、女中の姥竹(浪花千栄子)は、 正氏に会いに行こうと、越後を旅していたが、 人買いにだまされて、玉木は佐渡の遊郭に売り飛ばされ、 厨子王と安寿は丹後の大地主・山椒大夫(進藤英太郎)のもとに、奴隷として売られた。 男は山で柴刈り、女は汐汲み等にこき使われ、 脱走者は捕らえられ、みせしめとして額に熱い焼き鏝をあてられる…… そんな地獄の日々を送っていた厨子王と安寿はある日、 佐渡から売られてきた娘が口ずさんだ歌に、 自分たちの名が呼ばれているのを耳にして、 母の玉木が佐渡にいることを知ったのだが…… 原作では安寿が姉、厨子王が弟でしたが、 この映画では厨子王が兄、安寿が妹となっています。 名匠・溝口監督の個性あふれる演出、 八尋不二・依田義賢という当時の二大シナリオライターの素晴らしいシナリオもさることながら、 何と言っても一番光っていたのは、名カメラマン宮川一夫の 長回しを随所に駆使した秀逸なカメラワークです! 安寿が厨子王に脱走を勧めて逃がし、 自分は池に身を投げて自らの命を断つシーンは、それは悲しく、 そして、息を吞むほど美しかったですね……! このシーンで流れる悲しい音楽がまた、観客の涙を誘うんですよ! さすが、黒澤明と何度もコンビを組んだ名作曲家・早坂文雄です…… 安寿入水のシーンだけでも、宮川一夫の偉大さがスクリーンから伝わってきますね。 厨子王役の花柳喜章の演技は、いささか大げさではありましたが(新派そのもの)、 安寿役の香川京子の演技はやや抑え気味で、それがまた観客の心を揺さぶります。 田中絹代演じる母玉木が、遊郭からの脱走に失敗して、 ほかの遊女たちの目の前で、やくざどもから足の筋を切られるシーンも、 凄惨ではありましたが、見事なカメラワークがその凄惨さを最小限に抑えていましたね。 悲惨な場面が続くお話なのに、全般的に観て、とても美しい映画に仕上がっていました。 ヴェネツィアで銀獅子賞をとったのも、大いに頷けます。 【中古】 黒澤明MEMORIAL10(別巻2) 羅生門 小学館DVD&BOOK/芸術・芸能・エンタメ・アート(著者) 【中古】afb 破戒【邦画 中古 DVD】メール便可 レンタル落ち はなれ瞽女おりん〈東宝DVD名作セレクション〉/岩下志麻[DVD]【返品種別A】 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 31, 2021 07:18:23 AM
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