カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵ご紹介するのは、大蔵貢製作の新東宝映画、 その名も……「憲兵とバラバラ死美人」です!! 昭和12年10月、主力が満州に出動したあとの仙台歩兵第四連隊の井戸の中から 首と手足のない、しかも胎児まで宿った若い女の腐乱死体が見つかった。 仙台憲兵隊はこの事実に愕然となり、事件の捜査が難航すると見るや、 東京の腕利き憲兵・小坂曹長(中山昭二)が仙台に派遣された。 そして……今度は連隊と隣接する陸軍病院の古井戸から、女の両手両足が発見された。 まず最初に容疑者となったのは、二枚目で女出入りが激しい恒吉軍曹(天知茂)だった。 しかも、その恒吉と深い仲だった酌婦・文子が行方不明になっていたことで、 仙台憲兵隊はバラバラ殺人の被害者は文子で、犯人は恒吉に違いないと思い、 彼を捕らえ、連日激しい拷問を加え、自白を強要しようとした。 しかし小坂は、犯人は恒吉の他にいるのではないかと思い始めていた…… この映画、大蔵貢が提唱した「エログロ路線」の一作に数えられていて、 題名も「バラバラ死美人」と強烈ですが、 内容は上質なサスペンス映画ですよ。 面子ばかり取り繕おうとする仙台憲兵隊と、 あくまで冷静沈着に真相究明に乗り出す東京のエリート憲兵とのぶつかり合いあり、 サスペンス・ドラマではお約束のミスリードあり、 おでん屋の看板娘・喜代子(若杉嘉津子)と小坂との、ほのかなロマンスありと、 とにかく娯楽性たっぷりの作品に仕上がっています。 それにしても可哀相なのは、逆さ吊りや鞭打ちの拷問にかけられる天知茂さん…… 当時の憲兵隊の拷問って、警察のそれよりもずっとひどかったそうですね。 原作が元憲兵大尉の小坂慶助の「のたうつ憲兵」いう小説なので、 拷問のシーンも実にリアルに再現されていました。 新東宝では、「東海道四谷怪談」(超名作です!)の伊右衛門のような冷酷な悪役が多かった天知さんですが、 この映画では、徹底的にいじめられる役をうまく演じています。 ちなみに天知茂さんって、翳のある美貌とニヒルな雰囲気で売ってましたが、 私生活では浮いた噂ひとつなく、よき家庭人だったそうですね…… 監督は並木鏡太郎。脚本は杉本彰。 観て絶対、ぜーったい損のない名作ですよ~!! 【中古】憲兵と幽霊 [DVD] 【中古】 東海道四谷怪談 /天知茂,若杉嘉津子,大友純,池内淳子,江見俊太郎,中川信夫,大蔵貢,鶴屋南北 【中古】afb 【中古】 地獄 /天知茂,沼田曜一,三ツ矢歌子,嵐寛寿郎,大友純,中川信夫(監督),宮川一郎(脚本),渡辺宙明(音楽) 【中古】afb 【中古】女死刑囚の脱獄 [DVD] にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 29, 2022 10:28:29 PM
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