カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんにちは、映画狂のモイラでございます。
今日ご紹介する映画は、あの清純派の代名詞のような吉永小百合が、 9年ぶりの主演で、しかも「殺人犯」「死刑囚」という汚れ役を演じた話題作 「天国の駅 HEAVEN STATION」でございます。 昭和45年6月11日朝、雨がそぼ降る東京拘置所…… そのとある房に収監されている林葉かよ(吉永小百合)は、鏡に向かって唇に、 そっと赤い口紅をひいていた。 その様子を房の出入り口で、女看守たちがじっと見守っていた。 かよはこれから絞首台に立ち、死刑を執行される身だった。 何が彼女を殺人という罪にかり立てたのか……? 過去、彼女の身の上にいったい何が起こったのか……? この映画は、昭和30年代半ばに起こった「ホテル日本閣殺人事件」を題材にしたものです。 実際の事件の主犯の女Kは、若い情人(現職の警官!)と一緒になりたいがために夫を毒殺、 だがほどなく情人との同棲生活は破綻し、 行商先の塩原温泉で、土産物屋と食堂を経営して一財産を作り、 今度は温泉旅館の経営に乗り出そうとして、懇ろになった旅館経営者の妻を殺害し、 自分が旅館の女将におさまり、出資するも、 経営者と金銭トラブルを起こし、挙句に雑用係と共に経営者を殺害、死体を埋めた罪で逮捕され、 裁判で死刑が確定、女では戦後初、死刑が執行された極悪非道の女で、 「昭和の高橋お伝」とも呼ばれた女ですが、 映画では、彼女を「悪い男たちに翻弄されて罪を重ねた哀れな女」というふうに描かれています。 映画を企画したのは、プロデューサー兼俳優の岡田裕介(現東映会長)。 出目昌伸監督に、吉永小百合に連続殺人犯の役を演じてもらおうとかけ合ったところ、 「吉永の主演ドラマ『夢千代日記』のシナリオを書いた早坂暁がシナリオを書くなら、彼女も出演に同意するかも」と言われ、 早速、早坂氏にシナリオを書いてもらって、吉永小百合から出演承諾を得られたそうです。 この映画に出演するまで、吉永小百合はただの一度も、 手錠をかけられるような役を演じたことがなかったんですよね。 だから映画の製作が決まって、吉永さんが汚れ役を演じると聞いたサユリストたちは、 「ついに彼女も映画の中で脱ぐのか……?」と、半分不安、半分期待に胸ときめかせたそうな…… (濡れ場はあっても実際に脱ぐことはありませんでしたがね) クランク・インは’83年の秋だったのですが、 吉永さんは「私には汚れ役はできないんじゃないか……?」と、大いに悩んだそうですが、 いざ撮影に入ると、自分が演じたことのない汚れ役にノリノリとなり、 撮影はスムーズに進んだそうです。 脇が、津川雅彦、中村嘉葎雄、三浦友和、丹波哲郎、西田敏行、 白石加代子、真行寺君枝と、実力派で固められていましたね。 特に印象に残っているのは、知的障害者で、ヒロインかよに憧れの想いを抱き続ける 温泉場の雑用係の男・ターボを演じた西田敏行と、 精神病院を出たり入ったりしている温泉旅館の女将を演じた白石加代子ですね。 彼女、スクリーンに出てきただけで、キ〇〇イモード全開でしたよ!さすが名女優です! 三浦友和も、これまでやったことのない悪党役を上手に演じていました。 かよを追う刑事役の丹波哲郎も、いい味出していましたね。 まだ見ていない方は、今すぐレンタル店へGO!です! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 10, 2023 05:47:30 PM
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