カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵は、東映オールスターキャストの大作任侠映画 「修羅の群れ」をお届けいたします! 昭和8年、横浜の道場で柔道の稽古に勤しむ十九才の稲原龍二(松方弘樹)は、 地元のヤクザの親分・加東伝三郎(丹波哲郎)に見初められ、 極道の世界に足を踏み入れた。 動機は、父親(品川隆二)が博打にのめり込んで失った財産を、博打で取り戻すためでもあった。 また稲原は、兄弟分が女郎を買おうとしても、自分だけは買いに行かないと言い張った。 それは幼い時、同じ汽車に乗り合わせた貧農の娘たちが、 女郎に売られるわが身を嘆いて泣いているのを見たからだ。 それを聞いた兄貴分の横山新二郎(鶴田浩二)は、稲原の優しい心根を知り、 彼に任侠道を一から教えるようになった。 横山や親分に目をかけられた若い稲原は、徐々に頭角を現してゆくのだが…… 原作は大下英治。 主人公・稲原龍二のモデルは、指定暴力団・稲川会の初代会長の稲川角二です。 この映画、キャスティングがすごいんですよ! 松方弘樹、丹波哲郎、鶴田浩二の他にも、若山富三郎、菅原文太、北島三郎、 天知茂、北大路欣也、待田京介、葉山良二、鳥羽一郎、にしきのあきら、清水健太郎、 球界のOBの張本勲、小林繁、当時まだ無名だった小林稔侍 稲原の女房雪子役に酒井和歌子、その母役に風見章子 そうそう、丹波哲郎の息子・丹波義隆も、鉄砲玉の役で出てましたね。 ナレーションは、なんと小池朝雄が担当しております! ひたすら修羅の道を行く松方弘樹もかっこいいけど、 彼に任侠道を教える鶴田浩二がまた、かっこいいんだなあ! 敵対する組の鉄砲玉に命を狙われ、瀕死の重傷を負い、 逆上してドスで仕返しをしようとする松方さんの肩を叩いて 「我慢するのも男の道だ」と諭す姿……惚れ惚れしちゃいます! ヤクザだけれど、弱い者いじめは絶対に許さない松方さんに惚れる酒井和歌子も、いい味出していましたね。 物語は昭和8年から太平洋戦争、戦後の混乱期、そして昭和27年へと移るのですが、 その間に松方さんは博徒として勢力を拡大してゆき、 ついには熱海を拠点に、関東屈指の組織を作り上げるのですから、すごい! 戦後直後、三国人(今では差別用語)が台頭するのを見て、 賭場で日本人の博徒が「韓国人め!」と吐き捨てるように言うと、 「黙れ!博打に日本人も韓国人もあるか!」と叩きつける松方さんの啖呵、しびれたなあ! 彼の父親はかつて関東大震災の時、日本人が在日朝鮮人を次々と虐殺するのを見かね、 朝鮮人の親子を自宅にかくまってやったのです。 そんな父親を見ているから、ヤクザだけれど、国籍差別をしない側にまわったんですね。 それを見た韓国系のヤクザの組長(張本勲)が、松方さんに「よくぞおっしゃってくれました」と、礼を言うのです。 何かというとすぐ韓国・朝鮮の人を悪く言う今のネトウヨどもに、この映画をじっくり見せてやりたいです! 演歌の大御所サブちゃんも、ヒロポン(覚醒剤)中毒の愚連隊あがりのモロッコの辰を なかなか上手に演じていましたね。 韓国人ヤクザを演じた小林稔侍も、ちょっとしか出てないけど、荒っぽいドスの振り方が印象的でした。 監督は、「博奕打ち 総長賭博」「山口組三代目」の山下耕作。 脚本は村尾昭。主題歌は北島三郎の「神奈川水滸伝」。 木下忠司の音楽も、非常に効果的でした。 ふだん任侠映画になじみのない方にも、おすすめの一作ですよ! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 16, 2023 06:49:26 AM
コメント(0) | コメントを書く
[独断と偏見に満ちた映画評] カテゴリの最新記事
|
|