カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵は、江戸時代から昭和30年代にかけて、政府公認の遊郭だった吉原を舞台にした大作 「吉原炎上」をご紹介しますね。 明治41年、19歳の上田久乃(名取裕子)は、船乗りだった父が海難事故を起こし、 その賠償金の工面のため、岡山から吉原遊郭の中梅楼に売られてきた。 中梅楼には九重(二宮さよ子)、吉里(藤真利子)、小花(西川峰子)などの美しい花魁がいた。 九重の妹分となり、「若汐」という源氏名をつけられた久乃は、初店の時、怖くなって楼を逃げ出してしまった。 捕まって折檻を受ける久乃に、九重が「男の悦ばせ方を教える」と言い、久乃を裸にし、 あらゆる性的テクニックを伝授するのだった…… 田舎娘の久乃が、花魁として売れるようになり、みるみる垢抜けていくけれど、 客の子を孕み、冷たい川の水に浸かって堕胎するくだりは、悲惨でしたね。 昔は娼妓が妊娠すると、やり手婆さんが膣の中の胎児を棒などで掻き出したりしたそうですが、 世の男性たちは、そういうことわかっているのかなと思いました。 それでも久乃は、金持ちの馴染み客もついた一流の花魁であることを誇りに思い、 吉原の江戸時代からの名物でもある花魁道中を行うのですが、 これがまた、目を見張るほど美しいんですよね~ 桜吹雪の下で、絢爛豪華な衣装をまとった久乃が、禿たちに囲まれて、堂々と歩いていく姿…… しかし、そんなことができる娼妓はごく一握り。 ほとんどは借金に縛られて身動きができず、何百人という客をとらされ、 やがて小花のように体を壊し、血を吐いて、挙句の果てには狂い死にしたり (西川峰子、熱演でした!) 久乃の先輩娼妓だった菊川(かたせ梨乃)のように、 堅気の男と所帯を持ったものの、夫に浮気され、家を出て、また吉原に舞い戻ったり。 一見、絢爛豪華に見える高級遊郭の様子も、ひと皮剥けば、哀しい女たちの物語のオンパレード…… でも、堕ちてもなお、したたかに生きようとする菊川を演じたかたせ梨乃の演技は、見事でしたね。 他にも、衆人環視の下で剃刀で首を斬って死ぬ吉里役の藤真利子の最期の一言は、胸にぐさりと突き刺さりました。 「何だい、みんなあたしの体を食い物にしてやがるくせに! 女郎の上前で食ってやがるくせに!」 この映画、確かに悲しいことは悲しいけど、 明治の日本の風俗を見ることができて、面白かったです。 監督は五社英雄。脚本は中島貞夫。 観てぜ~ったいに損のない映画ですよ! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 17, 2023 11:35:18 PM
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