カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、いくつもの大賞をとった韓国映画「晩秋」の日本版 「約束」でございます! 冬の日本海沿いをひた走る列車の中…… 美しいが、どこか翳のある謎めいた女・蛍子(岸恵子)は、 なぜか初老の女(南美江)に監視の下で、座席に座っていた。 そんな時、まだ少年の面影を残す青年(萩原健一)が乗ってきて、蛍子の向かい側の席に座り、 彼女に屈託のない笑顔で、しつこく話しかけてくるのだった。 最初は億劫に思っていた蛍子だったが、いつしか青年の無邪気さに心を許し、 彼と心を通わせるようになった。 しかし、実は蛍子は殺人罪で刑務所に収監中の女囚で、 模範囚ゆえに、母親の墓参のための一時外出を、監視付きで認められた身の上だった……! グループサウンズ・テンプターズの歌手だったショーケンが、 この映画で本格的に役者デビューを果たしたんですよね。 しかも相手は、当時既に国際的な大女優だった岸恵子! 最初、ショーケンはこの映画でサード助監督を務めていたのですが、 主役の中山仁が降板してしまって、急遽、岸恵子の相手役を演じることになったのです。 それまでショーケンは、いくつかの映画には出たことがありますが、 主役級として出演したのは、これが初めて。 とても初めての大役とは思えないほど、無邪気で野放図な青年役を リアリティたっぷりに演じていましたね。 岸恵子もヴェテランらしく、囚われの身の女を上手に演じていました。 斎藤耕一監督がメガホンをとり、 ヴェテラン脚本家の石森史郎氏(モイラの亡き映画人の父の友人)が脚本を書いていますが、 最初、斎藤監督が韓国で「晩秋」を観て、大きな感銘を受け、 「晩秋」のストーリーなどを石森氏に伝えて、この「約束」の脚本が出来たそうです。 「晩秋」の脚本は、先日モイラがブログでとり上げた韓国映画界の大御所キム・ジホン(金志軒)先生のオリジナルで、 その脚本は、このモイラが日本語に翻訳して、韓国で「韓日対訳創作シナリオ選集」の一遍として出版されました。 モイラがキム先生の「晩秋」を翻訳する過程でつくづく思ったのは、 石森氏の「約束」の脚本は、「晩秋」をそのまんま日本語に置き換えたものだということです。 主役の女と青年の人物設定や話の流れが、本当に驚くほど、そっくりそのままでした。 それなのに、「約束」のタイトルバックでのキム・ジホン先生の扱いは、 「原案 斎藤耕一・金志軒」と小さく出ているだけでした。 「いくらなんでもこれはないだろう……」と、モイラは正直怒りを覚えましたね。 だって原案じゃない……キム・ジホン先生は原作者ですよ! それなのに何ですか……この小さな扱いは……⁈ モイラが「晩秋」の日本語訳を書いたのは、今からもう10年以上も前ですが、 書き上げた直後、松竹の製作部からモイラに電話が来て、 「『晩秋』の日本語訳がぜひ欲しいんです!」と言うので、添付ファイルで送ったのですが、 その後、松竹側からはモイラに何のお礼もありませんでした。 ほんとに、礼状一本来ませんでしたよ。 モイラはもう怒りを通り越して、ほとほと呆れました。 「二度と無料で翻訳文なんか送ってやるか!」と思いましたよ。 なんだか話が変なところに逸れちゃいましたが、 「約束」は見応えのある名作ですよ。 未見の方は、今すぐレンタル店にGO!!ですね。 ではまた。おやすみなさいませ。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 25, 2022 10:14:21 PM
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