カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、決して他人事ではない「老い」の問題を深く掘り下げた 吉田喜重監督の「人間の約束」でございます。 東京郊外・多摩市の住宅街で、認知症の老女・森本タツ(村瀬幸子)が、 家の布団の中で窒息死した事件を、田上刑事(若山富三郎)らが調べていたが、 タツの夫で、これまた認知症が進んでいる亮作(三國連太郎)が、 自分がタツを殺したと言い出した。 苦悩する亮作の息子・依志男(河原崎長一郎)と、 家でずっとタツの介護をしてきた依志男の妻・律子(佐藤オリエ)。 しかし田上刑事は、現場に落ちていた水と、亮作のどこか不自然な供述から、 犯人は別にいるのではないかと、思い始めていた…… 「老い」という重いテーマを、真正面からとり上げた傑作で、 ことに、認知症の老人の介護の大変さを、詳細に描いています。 先に認知症になったタツを、長年連れ添った夫の亮作が 「オラが看るだ!」と、依志男夫妻に強く言いますが、 年老いた亮作に介護を任せるわけにはいかないと、 嫁の律子が介護を買って出るのですが、 タツの実の息子・依志男の行動のひどいこと…… 何せ、実の母の介護は妻に任せっきりで、外で愛人(田島令子)を作るのですから…… このモイラが嫁なら、そっこーで離婚を申し出ますね。 まあ、それはともかく、認知症の老人介護の苦悩と、老いの哀しさが 非常によく伝わってくる作品ですね。 重い認知症のタツを演じた村瀬幸子の演技のうまいこと! 風呂に入るように促す嫁に、恥じ入るように、 「ダメなの……今日から女のアレが始まったから」と照れ笑いする様子は、 実にリアリティ満点です。 三國連太郎も、徐々にボケていく老人役を、うまくこなしていましたね。 実の息子の佐藤浩市が、刑事役で出ていたのには、ちょっと笑いました。 シナリオもよく練られていますが、演出も際立っています。 細野晴臣の音楽も効果的ですよ。 観てぜーったい損のない一作です! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 27, 2021 12:13:45 AM
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