カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます♪
今宵お届けする名画は、今から約半世紀前、37歳の若さで病死した市川雷蔵主演の 「ある殺し屋」でございます! 表の顔は無口な小料理屋の主人だが、 裏の顔は冷徹な一匹狼の殺し屋の塩沢(市川雷蔵)…… 彼はひょんなことから、フーテン娘の圭子(野川由美子)と知り合い、 不本意ながらも、彼女を店に雇うのだが、 そんな矢先に、暴力団幹部の前田(成田三樹夫)と、 組長の木村(小池朝雄)から、 敵対する組の頭を殺してもらいたいという依頼を受けるのだった…… 雷蔵様は、「大菩薩峠」や「眠狂四郎」シリーズなどの時代劇でも素敵ですが、 「炎上」や「陸軍中野学校」シリーズや、この「ある殺し屋」などの現代劇を演じても、 全く非の打ち所がありません。 没後半世紀を過ぎても、いまだに新たなファンを獲得しているのも、大いに頷けます。 雷蔵様の美しさ、演技の素晴らしさは、今さらこのモイラごときが語るのも憚られますので、 今宵はちょっと変わった視点から、この作品を語りましょう…… モイラがこの作品を日芸の学生時代に名画座で観た時に、はっとさせられたのが、 宮川一夫カメラマンの大変ユニークなカメラワークです。 宮川一夫といえば、日本映画界を代表する名名名カメラマンで、 紫綬褒章にも輝いている人なのですが、 この「ある殺し屋」では、アクション・シーン以外ではロー・アングルを頻繁に駆使し、 観る人を「おや?」と思わせます。 そしてアクション・シーンでは、うーん……なんと形容すればいいかな…… とにかくシャープでキレのあるカメラワークを見せていますね。 主人公塩沢がアジトに使う、うらぶれた墓場の近くのおんぼろアパートの汚さ、 塩沢がヤクザどもと密会する飛行場近くの土手の、ジェット機が飛びたつ音が聞こえる様子(ちなみに飛来する飛行機は、モイラが6歳の時に生まれて初めて乗った全日空機でした)、 小料理屋の二階の、まるで飾り気のない表の顔の塩沢のたたずまい、 針での殺しが行われる高級ホテルの豪華さ…… 撮影の素晴らしさを列挙したら、もうきりがありません。 これぞ宮川マジックです!! 殺しやアクションの場面で流れる鏑木創の音楽も、実に効果的でしたね。 増村保造・石松愛弘の共同脚本も、よく練られています。 原作は藤真利子のパパで、アクションものを書かせたらピカ一の作家・藤原審爾です。 ではまた。おやすみなさいませ…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 14, 2022 12:21:16 AM
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