カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、かの石原裕次郎を大スターに仕立てた 水の江滝子プロデュースにして 鬼才・中平康監督作品 「狂った果実」でございます! 鎌倉のブルジョア家庭・滝島家の長男・夏久(石原裕次郎)はいわゆる太陽族で、 暇を持て余しては、モーターボートや水上スキー、酒、女遊びに明け暮れていたが、 次男の春次(津川雅彦)は、まだ純情可憐な少年だった。 ある日、春次は逗子駅で、落下傘スカートがよく似合う美女・恵梨(北原三枝)を見かけ、 ひと目惚れしてしまうが、兄の夏久と違って、すぐ彼女に手を出すようなことはできず、 やっと恵梨と二人きりでデートができるようになっても、キス止まりだった。 そんな時、夏久は、実は恵梨がかなり年上の米国人ビジネスマンの妻であることを知り…… 原作と脚本は、裕次郎の兄で、当時、新進気鋭の作家として大人気だった石原慎太郎。 映画のハワイアン風の主題歌(もちろん裕次郎が歌唱!)も、慎太郎が作詞を担当しています。 歌詞がなかなか素晴らしいので、ちょっと紹介させて下さいね。 夏の陽を浴びて 潮風に揺れる花々よ 草陰に結び熟れてゆく赤い実よ 夢は遠く 白い帆に乗せて 消えてゆく 消えてゆく 水のかなたに 人は誹るとも 海の香にむせぶこの想い 今日の日もまた 帰り来ぬ 夏の夢 熱き心 燃え上がる胸に 狂いつつ 熟れてゆく 太陽の実よ 潮の香も匂う 岩かげに交わすくちづけも その束の間に 消えゆくと知りながら せめて今宵 偽りの恋に燃え上がり 散ってゆく 赤い花の実 この「狂った果実」は、モイラのカラオケの十八番の一つです! まあ、それは置いといて……この作品、「太陽族映画」と銘打つだけあって、 製作・公開は1956年、昭和で言うと昭和31年なのですが、 当時の庶民には高嶺の花だった湘南のモダンな別荘、 左ハンドルのオープンタイプのスポーツカー、 モーターボート(船の縁に”SUN SEASON”、つまり”太陽の季節”と書いてあるのが、ちょっと笑えます)や水上スキー、 果ては白い帆のヨットまで出てくるのですから、もう目がクラクラしちゃいます。 (モイラはまだヨットに乗ったことがなく、ヨットを持てるような友人知人もいません) そして目を惹くのが、若き奔放な人妻恵梨を演じる北原三枝のファッションセンス! 普段着の落下傘スタイルのスカートもさることながら、 超素敵だったのが、パーティで着てくる、たぶんピンク系(モノクロ映画だから、色までははっきりとわかりません)のミディ丈のドレスと、 大きな円形のたぶんゴールドのイヤリングに、たぶんゴールドのネックレス! 今、モイラが見ても目を見張るほど素敵なのだから、 当時、観客として観ていた若い女性たちは、それはそれは羨ましく思ったことでしょう。 「きゃ~! 私もあんなドレスやアクセサリーが欲しい!」って…… 太陽族男子をほぼ地で演じる裕次郎が、 性格のまるで違う兄と弟の間で揺れ動く北原三枝を無理やり抱きすくめ、 キスするシーンは、あまりにも有名です。 そして……真夏の歪んだ恋の行く末は……強烈です!(未見の方々のために詳しくは書きません) この映画、「太陽の季節」の大成功にあやかって、 「二匹目のドジョウ」とばかりに、わずか17日間で撮影されたんですよね。 しかし、中平康監督の天性の才能のおかげで、上質の映画に仕上がっています! 一見、いや二見、三見の価値がありますよ、ほんとに! ではまた明日…… にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 25, 2023 05:53:08 PM
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