カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
本日、お届けするのは、日活ロマンポルノの記念すべき第1作! 小川節子主演の、「色暦大奥秘話」でございます! 時は江戸時代。旗本跡見平右衛門の娘・八重(小川節子)は、 11代将軍・徳川家斉(神山勝)のもとに、大奥の奥女中として上がった。 だが八重には、勝田進之助(西川洋一)という部屋住みの恋人がいた。 一度大奥に上がれば、一生進之助と逢うことは叶わない。 胸がはり裂けるような思いで大奥に上がった八重は、 御年寄・音羽(乱孝寿)の部屋の御中臈となり、 いずれ将軍の夜の相手として選ばれるわが身の運命を呪った。 そんな時、将軍家斉と、同じ御中臈のおみよ(藤めぐみ)の夜の睦言を 寝間で一部始終窺い、翌朝、それを御年寄に報告する「御添寝」という役を仰せつかった。 男女の睦言など聞いたこともない生娘の八重は、 最初は顔を赤らめるが、やがて興奮し…… 1960年代後半、日活は堀久作社長の放漫経営やワンマン体質が災いし、 加えて大スター・石原裕次郎の独立もあって、経営難に陥り、 映画製作が困難になったんですね。 それじゃあと、やはり経営難にあえいでいた大映と手を結び、 ダイニチ映配と称して、共同で配給を組んだのですが、 1971年に、永田ラッパ率いる大映がついに倒産し、 ダイニチ映配も消滅したんですね。(同時に悪名高き「五社協定」も事実上崩壊) で、日活専属の俳優たちは殆どフリーとなって、他社やテレビ界へ行ってしまうんです。 にっちもさっちも行かなくなった日活は、 「観客を呼び戻すには、質の高いポルノ映画を作るという手があるんじゃないか?」 という営業担当の役員の提案を、渋々ながら受け入れたのです。 撮影スタッフの中からも、「ポルノでもなんでもいい。とにかく映画が撮りたい!」 という声が次々とあがり、こうして日活は大手映画会社の一角でありながら、 ロマンポルノ路線への舵を切ったんです! ……で、その第1作が、この「色暦大奥秘話」と、 白川和子主演、西村昭五郎監督の「団地妻 昼下りの情事」なんですよ。 この「色暦……」はポルノ映画と銘打っているので、確かにその手の描写は多いですが、 どうしてどうして、上質な時代劇に仕上がっています。 映画初出演というヒロイン八重役の小川節子さんが、とにかく美しいんですよ! 小柄だけど、出ている所はちゃんと出ていて、肌もきれい、 超美人というわけではないけど、瞳がとても大きくて、 それでいて、どこか倖せ薄そうな顔立ちで、悲劇のヒロインにはもってこいの女優さんです。 そして、彼女は日本髪がとてもよく似合うんですよね! ポルノ女優の中には、顔と身体だけで、台詞はてんで駄目な人もいるけど、 小川さんは台詞も演技も上手で、声もよく通り、 何より、所作が美しいのです! 武家娘らしい所作がちゃんと出来る人なのです! 今のテレビ時代劇の中には、町娘も武家娘も同じ歩き方や立ち居振る舞いをしている 目もあてられないひどい作品が多いけど、 70年代という時代は、まだまだ監督が厳しかったんでしょうね。 今は、主演女優が監督に怒鳴られて泣くなんてこと、あまりないそうです。 プロデューサーという人たちが、とにかく女優を甘やかすんですってね。 ことに2時間ドラマ製作の場では、監督が役者を怒鳴りつけようものなら、 すぐにその監督は、次から使ってもらえなくなるそうですよ。 なんだか話がそれちゃいましたが…… 低予算で作られたこの時代劇作品は、一見の価値がありますよ、ほんとに! ポルノ映画だからと敬遠せず、ぜひご覧くださいまし。 では、また明日! にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 26, 2023 05:19:53 PM
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