カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵お届けする名画は、5年前にドラマ撮影中に急死した名優・大杉漣主演の 「教誨師」でございます。 教誨師とは、刑務所や拘置所の囚人に、己の罪を悔い改めさせるための道を開く手伝いをする宗教家のことで、 日本では教誨師の多くは浄土真宗の僧侶ですが、 この名画に登場するのは、キリスト教(プロテスタント)の牧師です。 拘置所内の机と椅子しかない殺風景な一室で、 教誨師の牧師・佐伯保(大杉漣)は、今日も死刑囚ひとりひとりと向かい合い、対話をする。 死刑囚といっても、さまざまな人間がいる。 元ホームレスで、読み書きができないために娑婆で辛酸を舐めつくした老人・進藤正一(五藤岳夫)、 佐伯の前では熱心に讃美歌を歌うが、実は刑の執行を先延ばしにしたいだけのヤクザ・吉田睦夫(光石研)、 自分が将来死刑になるなど思いもしない、饒舌な自称カリスマ美容師の大阪のおばちゃん・野口今日子(烏丸せつこ)、 犯行時の記憶がないが、人を3人も殺めてしまったことを心から悔やみ、再審請求も放棄した小川一(小川登)、 佐伯に決して心を開かず、始終無口の鈴木貴裕(古館寛治) そして、重度心身障がい者17人を殺害し、それを「社会正義のためにやった」と 自らの犯行を正当化する高宮真司(玉置玲央)。 果たして佐伯は、そんな彼らを悔い改めの道に導くことができるのか……? モイラはこの映画、牧師が主人公だというだけで、観に行ったんですよね。 モイラ自身、プロテスタントの信徒だし、 どちらかというと悪役が多かった大杉漣さんが、教誨師の牧師という難しい役を どう演じているのか、それがとても気になって…… で、映画を観終わった後、モイラはとても幸せな気分になりました。 大杉漣さんがとても上手な演技をしていて、まるで本物の牧師のようだったからです! 饒舌なおばちゃん死刑囚を演じた烏丸せつこも、良かったですね。 この人も本当に演技がうまい……! 津久井やまゆり園事件の植松聖死刑囚がモデルの高宮役の玉置玲央も、 いざ自分が死刑執行される時になると取り乱す様子が、壮絶でしたね。 教誨師との面会を重ねた末に、「キリスト教に入信したい!自分はいつ執行されるかわからないので、できるだけ早く入信したい!」 と、懇願する五藤岳夫演じる正一も、観ていて涙が出てきました。 そして後日、ガウンをまとった佐伯牧師から、身体が弱って車椅子に乗った正一が、 「私は進藤正一に、父と、子と、精霊の御名において、バプテスマを授ける」と、 洗礼を受けるシーンでは、モイラ自身が20数年前に洗礼を受けたことを思い出し、 もう涙が止まりませんでした。 モチーフが「死刑」というだけに、気楽に観られる映画ではありませんが、 清々しい名作ですよ。 未見の方々、一見、いや二見、三見の価値があります! ではまた明日…… にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 27, 2023 07:40:35 PM
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