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Feb 25, 2024

藤純子引退記念映画★「関東緋桜一家」（1972年　東映）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは、映画狂のモイラでございます。

今宵お届けする名画は、「緋牡丹博徒」「日本女侠伝」「女渡世人」シリーズなどで大ブレイクした
東映のドル箱女優・藤純子（現・富司純子）の結婚引退記念超大作
その名も……「関東緋桜一家」でございます！！

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明治末期の東京。柳橋芸者の鶴次（藤純子）は鳶・に組の副組頭・河岸政（水島道太郎）の娘で、
踊りの名手でもあるが、講釈師で北辰一刀流の達人・東風斉呑竜（若山富三郎）から剣術も習い、
その腕前もなかなか達者な鉄火肌。
そんな鶴次は、に組の組頭・吉五郎（片岡千恵蔵）の息子・信三（高倉健）と婚約していたが、
彼は鶴次に絡んだヤクザを相手に乱闘の末、そのうちの1人を殺してしまい、行方をくらました。
その頃、新堀辰之助（嵐寛寿郎）率いる日本橋の新堀一家の客分・鬼鉄（遠藤辰雄）が、
柳橋で賭場を開き、柳橋の商人衆から大金をまきあげるという事件が起こった。
辰之助と河岸政とは兄弟分で、新堀一家は柳橋では賭場を開かない約束をしていたのだが、
辰之助が年老いて病床にあることで、新堀一家の代貸・常吉（名和宏）が鬼鉄と手を組んで、約束を破ったのだ。
そして勢力を広げたい鬼鉄は、ついに鉄砲玉を使って河岸政を刺し殺した。
鶴次は芸者をやめ、女だてらに父の跡目を継ぐ決意をするが、組頭の吉五郎は反対した。
しかし、小頭の由次郎（菅原文太）が後見人になることを買って出て、
鶴次は晴れて父の跡目を継ぐのだが……

この藤純子の引退記念映画、とにかくキャスティングがすごいんですよ！
水島道太郎、若山富三郎、片岡千恵蔵、高倉健、嵐寛寿郎、菅原文太のほかにも、
東映任侠映画ではお馴染みの名和宏、汐路章、待田京介、伊吹吾郎、八名信夫、
山城新伍、長門裕之、南田洋子、木暮実千代、藤山寛美、笠置シヅ子、金子信雄、石山健二郎、
そして、あの鶴田浩二まで出演しているのですからね！！
東映ヤクザ映画ファンならもう、頭がクラックラしちゃうような超豪華キャストです！！

脚本は、のちに「仁義なき戦い」シリーズや「二百三高地」などを書いた笠原和夫。
監督は日本映画の父・牧野省三の長男・マキノ雅弘。
主役の藤純子の魅力をあますところなくズームアップした演出には、
モイラ、完全に舌を巻いてしまいました。
本当に、本当に、無駄が一つもない名演出でしたね。
でも、なんといっても素晴らしいのは、構成のしっかりしたストーリーテリングです。
監督の父・牧野省三は、「一スジ、二ヌケ、三動作」（映画で肝心なのは、まずは脚本の面白さ、次にフィルムの仕上がり具合の良さ、三つ目は役者の演技力、の意）と言いましたが、
この作品こそ、その言葉にふさわしい出来栄えですね。

それにしても藤純子は、きりりとして実に美しい！
所作が素敵なんですよ。芸者として踊る姿は艶やか。
女侠客として刀片手に殴り込みに行く姿は凛として……
宝塚で言えば、お姫様役も男役も両方こなせるといったところでしょう。
当時の東映の社長だった岡田茂が、彼女の引退に強く反対したの、わかります。

モイラは日藝の学生時代、ヤクザ映画大好きの親友に連れられ、
文芸坐や新宿昭和館に通いつめて、ヤクザ映画を見まくったものです。
「ヤクザ映画はちょっと……」と、敬遠気味の方々、
この「関東緋桜一家」はおすすめですよ！

★藤純子の魅力たっぷり！！★