名作落語大全集

【粗筋】
　旦那が亡くなり、熊さんも女房からくやみを教わって出掛けた。しどろもどろにくやみを述べて、線香をあげようとすると、三方の上に髪が乗せてあり、
​　　長かれと祈るえにしの短うていらぬわが身の髪のながさよ
　という歌を書いた色紙がそえてある。これは奥様が亡くなった旦那に操を立てて、二夫にまみえないという誓いを詠んだのだという。すっかり感心した熊さん、家に帰って女房に話をして
「お前なんぞ足元にも及ばない」
　と毒づいて昼寝をしようと横になった。ところが布団が短くて足が出てしまう。熊さんが文句を言うと、
「長かれと祈る布団の短こうていらぬ亭主の足の長さよ」

​【成立】
　速記も録音も残っていないが、橘家円蔵（７）演じていた。大正末の本には「他向けの歌」という題で紹介されている。前半に「くやみ」を演じる。




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