【解説】
鈴々舎馬るこが演った<普通の>「垂乳根」……大家が来るが、何をしに来たのか分からない。結婚相手を紹介するというが、相手について説明しようとするとごまかそうとする。この部分を大きくふくらましたのだ。初めて聞いた時は、何のネタだろう……って思いながらも、おかしくて引き込まれて行く。
これを発展させたのが「魔法世界のたらちね」。言葉が丁寧なのではなく、黒魔術に凝っていて、この間も手に包帯を巻いているとそこに魔王を封印したとか、ちょっと変なことをする娘を紹介する。その娘がこの男の写真を見せた途端に結婚したいと言ったらしい。大家に任せて結婚を決めると、その夜彼女を連れて来る。二人きりになって大家から聞いていた名前・民子さんと呼ぶと、「我はセンネル。魔族の末裔なり」と言う。どうして民子さんがセンネルになったのかを尋ねると、「西暦800年、ブラックドラゴンが破壊の限りを尽くしたが、勇者の力で洞窟に閉じ込められた……わが名はセンネル……」説明になっていない。写真を見た途端大魔王のデブセルブ様だと思って結婚を決意したのだ。その名前は使わないでくれと言うが、彼女は承知しない。両親について尋ねると、「父はもと京都ゥの産にして……」と、突然古典に戻ってしまう。
翌朝味噌汁を作ろうとするが、味噌と具と汁の三位一体の力はいずこ。米をとぐと、魔王を封印した手でとぐから、刺青を書いた墨が流れてごはんが真っ黒。「これが本当の黒魔術だ」