【粗筋】
亀を助けて竜宮城へ行こうと思い立った男、動物園で歩き回ったが、亀がいない。疲れてベンチに座ると、後ろから声を掛けられた。それが丹頂の鶴で、子供を残して捕まったから逃がしてくれれば、竜宮城ではないが、栄耀栄華の国に連れて行くと言う。「本当かい」「はい、鶴の一声で」ってんで、逃がしてやる。5日経ったがお礼に来ない。「鶴は千年というから、数百年経ってから礼に来るんじゃないか。首を長くして待っていると、こっちが鶴になっちまう」と言っているところへ、ごみ箱から鶴が現れた。掃き溜めに鶴というやつだ。鳥の国に連れて行くというので背中に乗って行くと、歓迎の礼砲に、鳩が豆鉄砲を食らったようにひっくり返る。町では救急車に乗って急患鳥(九官鳥)が走り、警察官が詐欺(鷺)を捕まえている。財布を見て泣いているのは始終空(四十雀)、銀のボートに乗っているのは歌を忘れたカナリヤ、お寺にいるのが仏法僧……鳳凰の法王に逢って玉手箱をもらった。開けてびっくり……あっという間に白髪のお爺さん……ではなく、髪の毛が全部なくなっている。
「無理もない、助けたのがつるつるの二羽だ」
【成立】
栗山すすむの作を、三遊亭円右が演じた。