【粗筋】
家付きカー付き婆ァ抜きなんて言われた頃、三人息子がいるお婆さん、老人ホームなどに入れるのはみっともないと、三人息子が十日ずつ交代で面倒を見るということになった。ところが、次男の息子が遠足で、明日は早く出るから一日早く三男の家にやって来た。兄弟で唯一の独身である三郎、今日午後二時に彼女が来るのだ。
「私隅で小さくなってます」「喫茶店で義太夫を聞いてる気分になるから駄目です」
「近所のお宮でお祭りやってますから、暗くなるまで遊んで下さい」
と追い出される。このお祭りで、幼馴染みの健ちゃんに再会。お互いに好きだったことが分かり、一緒にお茶を飲んで別れる。数日後に速達が来て、
春芽ぐむ六十路を超え死稚児桜
の句を添えて、昼間は息子さんが留守だというので、今日遊びに来るという。今日は会社の公休日なのだ。
「大変です。健さんが来ます。見られるの恥ずかしいから、お前どっか行っておくれ」
「僕隅で小さくなってます」「お寺でジャズを聴いているような気分じゃないですか」
と、近所のお宮に追い出される。やって来た健さん、隠居所が出来たから一緒に住もうと提案、今でも運転しているから、月に何度かドライブしましょうと言う。
「あーら、家付きカー付き、婆ァありですか」
「嫌ですよ、子供抜きにしてもらいましょう」
【成立】
名和宏の創作を古今亭今輔が演じた。昭和34年の本にある。