【粗筋】
ソクラテス先生のところへハミルトン君がやってくる。
「良く来たね、ハッつぁん」
実は娘が百人一首にある業平の歌、
千早振る神代もきかず竜田川からくれないに水くぐるとは
の意味を聞かれて困っているというのだ。
先生の解釈によると、竜田川というのは物理学者の名前でノーベル賞も取っているという。宇宙から振ってくる放射線をつかまえようと、地下にタンクを作り、そこに純水(H2O)を満たしたカミヨカンデという物を作ったが効果がなかったので、これを改善、スーパーカミヨカンデを作り上げた。その放射線が水の中で赤い光が確認され、この放射線に千早という名前をつけた。
「それで、どうなりました」
「それでおしまい」
「何です」
「 宇宙から振ってくる千早をとらえることに成功した……千早振る
カミヨカンデは効果がなかった……カミヨも効かず竜田川
色が赤いだった……カラーは紅……カラ紅に水くぐるとは
になるだろう」
「ひどいね……最後の『とは』って何です」
「ううん……まだ研究中です」
【成立】
柳家小六が大学で物理を専攻していたというのを聞いた大師匠・小三治が、「じゃあ物理の落語を作れ」と言った。2003年のこと。これに応えて、2008年頃からマクラとして演じている。落ちについては「この研究は永遠(とわ)に残る」ってのを提案したが、音に出すとあまりよくない。