テーマ:落語について(2304)
カテゴリ:落語
【後筋】 浪江は重信を殺したものの、すぐにおきせと夫婦にはなれず、竹六を仲立ちに仕立て、おきせに子供のために再婚を勧めさせ、まんまと入夫する。翌年、おきせが懐妊したが、乳が上がってしまい、まだ乳飲み子の真与太郎が夜泣きをするようになって浪江はうるさくてたまらない。この子にとっては自分が父の仇になるということで、今のうちに片付けてしまおうと考える。おきせには正介の知人の大尽に里子に出すと言って、正介には十二社の滝に投げ込んで殺すよう命じておいた。 十二社の滝は当時は3丈(10m)の高さ、正介が子供を投げ込むと、滝の中から重信の亡霊が現れる。正介が泣いて詫びると、真与太郎を育てて仇を討ってくれと言い残して亡霊は消える。はっと我に返ると、投げ込んだはずの真与太郎がそばにいるので、これを連れて宿に泊まるが、そこで南蔵院にいた頃に親しくしていた本郷原町の万屋新兵衛夫婦に会う。腹をすかせた真与太郎に、おかみさんが乳を飲ませてくれる。正介は翌日、故郷の練馬赤塚村へ帰り、姪の家で世話になっていたが、近所の松月庵という寺の門番がいなくなったので、その茅ぶきの小さな家を浪江からもらった金で買い取り、真与太郎と一緒に移り住む。この松月庵の庭に大きな榎があり、中に乳房の形のこぶがあって、そこから甘露のような露がしたたり落ちており、真与太郎はこれを飲んで成長する。 ある日、万屋新兵衛夫婦がここを訪れた。おかみさんの乳に腫れ物ができ、夢のお告げがあって来たという。試しに露を付けると、けろりと治ってしまった。これがきっかけで不思議な霊験が噂となり、正介はこの露を竹筒に入れて売ることが許され、松月庵も信者の寄進で立派になって行く。 真与太郎が5つになる頃、扇折りの竹六が現れた。おきせの乳が出ないので浪江の子供が死に、その後乳に腫れ物が出来て痛くてたまらないので、噂の露をもらって来るよう頼まれたのだという。正介は、自分達がここにいることを浪江には黙っているよう頼んだが、口の軽い竹六はぺろりとしゃべってしまう。浪江は、正介は気が弱い男だからと気にも掛けていなかったが、真与太郎も生きていると聞いて、捨ててはおけないと考え出す。 おきせの乳に露をつけたが一向によくならず、かえって痛みが増し、胸の中に雀が飛び込んであばれていると言い出す。腫れ物を突いてそれを追い出してくれと言うので、脇差でちょっと突いたつもりが、深く斬り込んでしまう。とたんに胸から一羽の鳥が飛び出し、浪江がこれに気をとられている間に、おきせは息絶えてしまう。子供ばかりか妻まで亡くした浪江は、半ば自棄になって真与太郎と正介を殺しに赤塚村へやって来たのがちょうどお盆の13日であった。 正介は竹六と会った日から、いずれ浪江が来るに違いないと、真与太郎に真実を教え、重信の形見の脇差を与え、立派に仇を討つようにと話しているところへ浪江が乗り込んで来た。浪江は一気に斬り捨てようとするが、天井が低かったため切っ先が天井板に食い込む。正介がとっさに投げた線香立てが目潰しになり、さすがの浪江も立ち往生。 まだ5つの真与太郎が、まるで重信の霊に助けられるように脇差をにぎり、浪江の脇腹に突き立てて、ここにめでたく本懐を遂げる。 【蘊蓄】 芝居などで人気になり、板橋区赤塚松月院境内に旧赤塚村役場跡碑のそばに記念碑がある。後ろの榎がモデルとなったとある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.18 05:30:11
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