【粗筋】
仲のよい夫婦だったが、女房が病気で死ぬ。死ぬ前に再婚したら化けて出るという約束をしたが、回りの世話で断りきれずに再婚。その夜、約束の幽霊を待ったが、いっこう出てくる気配がない。それから5年、茶漬けを食っている昼間に先妻の幽霊が現れた。話を聞くと、髪を剃ったから伸びるのを待っていたと言う。
「それにしても、こんな昼間に出んと、夜出たらどうや」
「だって、夜は怖いんだもん」
【成立】
享和3(1803)年桜川慈悲成作『遊子珍学問』の「孝子経曰人之所畏不可不畏(こうしきょういわく、ひとのおそるるところ、おそるべからず=孝子経にいう、人が畏れることを畏れる必要はない)」。東京に移植されて「三年目」になる。
【一言】
嫁はん……というか女性の理想像の二タイプです。前の嫁はんが物ひとつはっきりよう言わんしとやかなうつむきかげんの女性であるのに対し、後の嫁はんは明るくてまだ娘々したところがある胸を張った女性であるという対比ですね。そのどちらもがかわいいんです。おたくの奥さんはどちらのタイプですか? うちですか? うちは、そうですなァ……、まァ前者のタイプでは決してないことだけは太鼓のような判をおせます。
ドン!(判を押した音です。嫁ハンにどつかれた音ではありません)(桂枝雀(2))