【粗筋】
若旦那が茶屋に行ったまま10日も帰って来ない。店の者を迎えにやるが10日も帰って来ない。番頭を迎えにやるが10日も帰って来ない。後は権助だが、酒癖が悪いから大変なことになる。そこで旦那自ら、権助の着物を借りて迎えに行く。
二階では大騒ぎ。旦那は下の物置のような部屋で待たされる。さすがに疲れたのか、二階では一人ずつ芸を見せる。番頭の歌は同じところの繰り返し、若旦那がなかなか……「あいつ磨いとったんやな」
そこで襖が開くが、「部屋を間違えました、失礼」と言う女、見ると、昔馴染みだった女ではないか。
「旦那も落ちぶれて……」
「わしは息子を迎えに来たのじゃ」
「まあ、道理でよく似ていらっしゃって」
「お前はどうしたんじゃ……」
昔贔屓にしていたが、いい男が出来て所帯を持つというので
れたのだ。その亭主の浮気が止まず、苦労して結局別れ、またこういう商売に戻ったと言う。
「苦労したんやな」
泣き崩れる女を抱き寄せる……
「お迎えの方、若旦那お帰りですよ」
「え、帰るか……そうか……ううん、親不孝者め」
【成立】
上方落語。前半は東京の「木乃伊取り」と同じ感じ。それにしても上方は一人が迎えに行くと、その結果を10日も待っている。一番簡単なものでも30日、多いのは5人が迎えに行っているから、最初の若旦那はふた月も帰って来ないことになる。最近は前半を省略して親父が迎えに行くという演出もある。私が聞いたのはみんなそうだった。