【粗筋】
品川に家を買った課長、見る見る痩せて顔色も悪い。話を聞くと、駐車病だと言う。家族でドライブをするのが夢で、車を買って憧れの車通勤を始めたが、会社に駐車場がないので、近くの駐車スペースを利用、しかし、いつも満員で、有料駐車場しか止められない。そこで、朝3時に車で出て池袋へ。無料の駐車スペースを確保して品川の家まで帰り、安心して朝食。それから満員電車に揺られて出勤……精神的にも疲れ果て、日曜日にはぐったりして家族のドライブも出来ないと言う。部下が聞いて、伯父さんが同じことを言っていたのを思い出す。そこで提案、品川から池袋に出勤する課長は、伯父さんの家の駐車場に止め、池袋から品川に出勤する伯父さんは課長の家の駐車場に止めるという作戦。先方に行って話をすると、双方同じような境遇で、かみさんは隣の手芸教室に通い、子供の学校も似たようなもの。それならいっそ、家をまるごと交換しようという話になる。
「会社の仕事もほとんど同じだからお互いの交流を兼ねて仕事も交換してしまいましょう」
「それはいいですね……私が品川から池袋へ引っ越して品川へ通うことになりますなあ……それでは、困ったことになります」
「何です」
「どこかに駐車場はありませんか」
【成立】
栗山進の作品が昭和41年の本にあり、翌年の雑誌には、三笑亭笑三が演じたとある。