パズルを解く<いちゃ問>:女か虎か
「相変わらずのパズルで失礼を致します」「先代の今輔師匠みたような声出してますね」「今日の問題は、有名な作品」問題 2人の刑吏が、1人の犯罪者を連れて、ドアが2つある刑場にはいってきた。1つのドアのうしろには虎がひそんでおり、もう1つのドアには、男が愛した王妃がいる。もちろん、男には何も知らされていないが、1つだけ質問をすることが許されている。また、2人の刑吏は、1人は必ず本当のことをいい、もう1人は必ずウソをつくが、それはどちらの人間かはわからない。では、王妃を得るためには、この男はどんな質問をしたらよいだろうか?(『どっきりパズル』119ページ)「まずひどい問題文じゃなあ」「どこが……ですか」「『男には何も知らされていないが……』ってのは何を知らされていないのか。ドアの後ろには虎か王妃がいる、1つだけ質問が許される、片方は本当をいい片方はウソつき……これだけの条件だね。このうちどれを外しても問題は解けない。では、男が知らされないのは何か……」「あれ……確かに……全部分かっていますね」「どちらに王妃がいるかを知らされていないということかなあ……それが分かっていたら問題にならないし……まず出題者に日本語の能力がないということだけがはっきりしている」「はい、さっそく揚げ足取りですね」「で、答えはどうなる」「どうなりますか」「昔から同じ答えが用意されている。解答と解説を見よう」解答 2人の刑吏のどちらかに、「もう1人の刑吏はどちらのドアに王妃がいるといっているのですか?」と聞けばよい。解説 もし、王妃が右のドアに入っているとすると、聞かれた者がウソツキなら、もう1人のホントツキは「右」というから、当然「左」とウソのことばが返ってくる。 また、聞かれた者がホントツキなら、もう1人のウソツキは「左」と逆をいうから、当然「左」ということばが返ってくる。いずれにしても答えは同じだから、その逆のドアに王妃がいる、と分かる。「なるほどね」「なるほどかい……わしは小学校の時にこの答えはおかしいとクレームをつけて、出題者を怒らせてしまった」「え、どこがおかしいんです」「わしがウソツキなら、どう答えるか。『もう1人の刑吏はどちらのドアに王妃がいるといっているのですか?』と聞かれた時、わしならきっと、『さあ、分かりません』と言うじゃろう」「あら……大家さんでないと考えつかない答えですね」「しかし、そうじゃろう。『Aである』という本当に対するウソは『Aではない』に決まってはいない」「ううん、屁理屈ですねえ」「そう、それでわしに出題したバカ者……いや若者は、『それじゃあ答えが出ないじゃないか』って言うのじゃ……それで考えたのが、次の答え……」 あなたは、「このドアに王妃がいるか」と尋ねたら、はいとこたえますか。「という質問じゃ」「ええと……ホントツキなら王妃がいれば『はい』、虎がいれば『いいえ』ですね。ウソツキは王妃がいれば『いいえ』のはずだから、ウソをついて『はい』になりますか」「そういうこと。『はい』ならその扉を開き、『いいえ』なら別の扉を開くのじゃ」「大家さんのような暇人でないと思いつかないですね」「まあ、それでも最初に示された解答よりはずっとスマートだと思うね」「まあいいでしょう……大家さんは暇人だから……」「さて、ところが、世の中にはもっと暇人がいて、『右脳パズル』の問題35では、同じ設定の問題に、なんと3ページにわたって解説をした上、正解は……」「おまえがウソつきで、この出口から出れば死ぬというのは正しいか?」か、あるいは「おまえはウソつきではなくて、この出口からは生きて出られるというのは正しいか?」という問いのどちらか一方は真実であるというのは正しいか。「という質問をするという解答に行き着くのじゃ」「ええっ……」「いっぺんで理解できるか」「できません」「この質問に対して、刑吏のわしは何と答えるじゃろう……『何を聞かれているのか分からない』 じゃろうな」「そうなりますか」「しかし、これはホントツキなのか、ウソツキなのか、それすら判断出来ない」「訳が分からないね」