聞いてください、看護婦さん
なんだか心にずっしりくる詩です。メモルは助産師として産科に勤めているので、ターミナルの患者さんや意識のない患者さんと関わることはほとんどありませんが、改めて看護というものを考えました。でも、赤ちゃんも同じかな、と思いました。お腹がすいているとか、おむつが汚れたとか、抱っこしてほしいとか、体調が悪いとか、言葉で伝えることはできない。私たちが気づいてあげなくちゃいけない。赤ちゃんの伝達手段は泣くこと。でも泣けない赤ちゃんもいる。それでも気づいてあげなくちゃいけない。妊婦さん産婦さん褥婦さんたちも、他科の患者さんに比べれば、若いし、基本的には元気だし、言おうと思えば何でも言える人たちだけど、でもみんながみんな言いたいことを言えるわけじゃない。それも気づいてあげなくちゃいけないんだな。難しいことだけど。すっかり忘れてたわけじゃないけど、忘れてはいけないことを改めて思い出しました。聞いてください、看護婦さんひもじくても、わたしは、自分で食事ができません。あなたは、手の届かぬ床頭台の上に、わたしのお盆を置いたまま去りました。そのうえ看護のカンファレンスで、わたしの栄養不足を、議論したのです。のどがからからで、困っていました。でも、あなたは忘れていました。付き添いさんに頼んで、水差しを満たしておくことを。あとで、あなたは記録につけました。わたしが流動物を拒んでいます、と。わたしは、さびしくて、こわいのです。でも、あなたは、わたしをひとりぼっちにして去りました。わたしが、とても協力的で、まったく何も尋ねないものだから。わたしは、お金に困っていました。あなたの心のなかで、わたしは、厄介ものになりました。わたしは、一件の看護的問題だったのです。あなたが議論したのは、わたしの病気の理論的根拠です。そして、わたしを見ようとさえなさらずに。わたしは、死にそうだと思われていました。わたしの耳が聞こえないと思って、あなたはしゃべりました。今晩のデートの前に美容院を予約したので、勤務の間に死んでほしくない、と。あなたは、教育があり、りっぱに話し、純白のぴんとした白衣をまとって、ほんとにきちんとしています。わたしが話すと、聞いてくださるようですが、耳を傾けてはいないのです。助けてください。わたしにおきていることを、心配してください、わたしは、疲れきって、さびしくて、ほんとうにこわいのです。話しかけてください。手をさしのべて、わたしの手をとってください。わたしにおきていることを、あなたにも、大事な問題にしてください。どうか聞いてください看護婦さんRuth Johnston"American Journal of Nursing,Feb.1971"より人気blogランキング楽天育児ブログランキング>育児日記