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テーマ:プロ野球全般。(13401)
カテゴリ:ビジネス成功法
今日のテーマは、「未来社会で、得する人、損する人」の予定だったが、かずめさんから本質的な答えが出てしまったので、ちょっと視点を変え、客観的に見て、世間でいう「成功(つまり他人からの評価)する人、失敗する人は?」について、数回に分けて、お話することにした。
今日は、未来の企業社会におけるリーダー像について考てみたい。 昨晩、TBSで毎年恒例の「報道スクープ決定版'04 」を見た。 今年一年の出来事を振り返る報道番組だ。 今年もいろんな事が起ったが、今日のテーマが頭にあったので、プロ野球再編問題のナベツネと古田の顔が印象に残った。 非常に対称的な、このふたり。新旧のリーダー像を語るにはもってこいだ。 勿論、 旧リーダー像 ナベツネ 新リーダー像 古田 である。 何故か? 日本の未来社会を考えてみよう。 生産拠点としての中国、情報処理拠点としてのインドが国際経済の中で台頭していることを考えると、日本が、現在の地位を維持していくには、社会に対して、より高度なソリューションを提供するための技術・ノウハウを持つ国に発展していかなければならない。 その姿はドラッガーが言う知識社会にほかならない。 将来、知識社会が到来すれば、企業は、多種多様な知識・技術を有する知識労働者が集まった専門家集団となっていく。 ここでいう知識とは、ビジネスに直接役立つ知識(哲学・文学的なものではない)なので、技術革新により、すぐに陳腐化してしまう。 そうなれば、知識労働者は、自分の価値を維持・向上するために必死に勉強する。 一生懸命勉強し、高度な知識を習得した労働者は、プロとしてのプライドが高い。 市場価値の高い知識労働者は、質の高い仕事をするが、納得がいかなければ簡単に転職してしまう。 未来社会のリーダーは、こういうプロ集団をまとめていくスキルが必要になる。 ひと昔前の考え方であれば、リーダーは、すべての部下(知識労働者)に対して、個別具体的な指示を出せるようなスキルが必要だろうが、扱う課題が高度化すれば、それができるスーパーマンは滅多にいないだろう。 それでは何が求められるかというと、第一に「対人・調整能力」である。 僕は、テレビに映っていた古田を見て、「そうだ、彼が未来社会のリーダー像だ!」と思った。 未来の企業は知識労働者の集団(プロ集団)。プロ野球とまでいかないだろうが、より近い存在になっていくだろう。 今回のプロ野球再編問題で、古田は、ファン、選手、日本プロ野球組織、3者の利害の調整を見事に行った。 古田は、自分の私利私欲を、まったく主張していない。 あくまで、プロ野球の発展、ファンの願い、選手の処遇のために頑張ったし、泣いたのだ。 古田の様子を見ると、大選手にもかかわらず、何も偉そうにしていない。 良いスーツは着ているけど、飾り気が無く、地味。 長島に比べればカリスマ性もない。 しかし、彼の利他的で誠実な態度には心が打たれる。 「古田って良いやつだ!」と多くの人が思ったのではないか? しかし、この古田、単なる良い人ではない。 プライドが高くて個性の強い選手の考えを調整し、限られた時間の中で、方針を一本化することは簡単なことではないだろう。 そして、交渉の駆け引き。 相手は、傾いた企業が多いとは言え、大企業の経営者達。こういうことについては、つわもの揃いだろう。 そう言えば古田は、かなりの頭脳派だ。 以前、古田は、松井と対戦するとき、「1年以上前のデータを使って分析しても無駄だ。」と言っていた。 考えてみると一流のキャッチャーは優れた戦略家なのだ。 さて、僕は、古田の資質のことだけを強調するつもりはない。 この事例における古田の役割りが、未来社会の理想的な経営者像だと言いたいのだ。 以下のように置き換えると、未来社会の企業の姿が見える。 古田 = 経営者 ファン= 顧客 選手 = 従業員(知識労働者) プロ野球オーナー会 = 株主 この例えは、少し極端だと反論があるかもしれないが、ドラッガーが言うように少数の大資本家が衰退し、チャールズ ハンディが言うように小規模な自立型組織が浅く結びついた連邦型組織に企業が変わっていくとすれば、きっと、この例に近い形になっていくと思う。 つまり、一部の権力者によってトップダウンで意思決定するのではなく、謙虚な経営者や管理職が関係者といっしょに論理的に議論し、ちゃんとした手順を踏んで意思決定していく形になっていく。 そうなれば、経営者の役割りは、株主、顧客、従業員間の調整役。管理職の役割りも経営者・顧客・部下・仕入先...間の調整役といった意味合いが強くなるだろう。 こういった価値観が主流になれば、「たかが、選手が!」に見られる権威主義的な価値観や、それに基づいた支配的な企業統治は消えていくにちがいない。 また、従業員のモチベーションは向上し、創造力は最大限に発揮されるだろう! つづく ■「勝負脳」を鍛える( 著者: 谷川浩司 / 古田敦也 | 出版社: PHP研究所 ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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